独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は6月21日、共通脆弱性評価システム「CVSS」(Common Vulnerability Scoring System)の新版となるversion 2の概説資料を公開した。
CVSSは、コンピュータセキュリティに関する国際フォーラム「FIRST(Forum of Incident Response and Security Teams)」のCVSS-SIGが管理母体となっている共通脆弱性評価システム。情報システムの脆弱性に対するオープンで包括的、汎用的な評価手法であり、ベンダーに依存しない共通の評価方法を提供している。
CVSSを用いることで、脆弱性の深刻度を同一の基準の下で定量的に比較することが可能となる。IPAでは、6月20日にFIRSTからversion 2が公表されたことを受け、その概説資料をIPAのウェブサイトで公開した。
新版では、基本評価基準の評価項目の「攻撃元区分」「攻撃条件の複雑さ」「攻撃前の認証要否」、および環境評価基準の「二次的被害の可能性」の評価内容がそれぞれ1つ増加し、より細分化した評価が可能になった。また、基本評価基準の評価項目「C、I、Aの重み」が、環境評価基準の「対象システムのセキュリティ要求度」に移動し、対象システムごとに要求されるセキュリティ特性を考慮した評価が可能になっている。
さらに、評価結果が特定の値に集中しないように、CVSS値の計算方法が改善された。IPAでは今後、CVSS v2に順次対応していく予定であり、製品利用者やSI事業者が脆弱性への対応を検討する際や、製品開発者が開発段階からセキュリティ品質を作り込む際に活用して欲しいとしている。
IPAは、ソフトウェア製品の脆弱性の深刻度評価にCVSSを適用しており、脆弱性対策情報の公表ページでCVSS基本値の評価結果を公表している。2月の公表開始後、脆弱性対策情報の公表ページのアクセス件数が倍増するなど、一般に活用されている。また、4月から公開している脆弱性対策情報データベース「JVN iPedia」でもCVSS基本値を公表している。