米国政府がVoIPを台無しに?料金上昇でユーザーの選択は変わるか - (page 2)

文:Deb Shinder 翻訳校正:吉井美有 2007年06月26日 08時00分

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 あなたのVoIPの請求書では、間もなく携帯電話の請求書と同様に、支払い額の最高4分の1が税金や管轄政府への各種料金になっているかもしれない。これらには、連邦政府のUSFへの拠出金にあてられる費用だけではなく、規制当局の課する料金や、追加の管理料金、州のユニバーサルサービス費用、E911(Enhanced 911)費用、州の売上税、その他の州費用、地方売上税が含まれる。

VoIPは最大のメリットを失うことになるのだろうか?

 新たな税金が課されるようになり、VoIPのコストがPSTNのそれに近づいた場合でも、コンシューマーはIPベースの電話サービスの導入を急ぐだろうか?それともVoIP導入のペースは鈍化していくのだろうか?おそらく、一部のマーケットセグメントにおいては勢いを失うだろう。しかしそれ以外のマーケットセグメントでは電話サービスの魅力的な代替(または補完)サービスであり続けるだろう。

 VoIPは、固定電話や携帯電話に対する税金と同じ税金を課されたとしても、長距離電話、特に国際電話を多用する企業やコンシューマーに対してはコスト面でのメリットを維持できるだろう。また、VoIPにはコスト面だけではなく他のメリットもある。VoIPによって、複数参加者によるビデオ会議を簡単に開催できるようになるうえ、ボイスメールメッセージを電子メールの添付ファイルとして受信する機能などのユニファイドメッセージング機能も提供される。こういった機能は、従来の電話システムでは提供されていないか、提供されていても高額な追加料金を支払う必要があるのだ。

 しかし、価格こそがコンシューマー市場におけるVoIP導入の最大の原動力なのである。VoIPが価格面での大きなメリットを提供できないとなれば、大半の一般家庭ユーザーにとってはVoIPへの切り替えの価値が失われることになるかもしれない。PSTNは馴染みのある存在であり、利用も簡単であるうえ、長期に渡って盤石の信頼性を維持してきたという点も有利に働く。最近では音声品質や信頼性が大きく向上したとはいえ、VoIPは未だに、真実も誤解も含めて以下のようなデメリットを抱えている。

  • 管理負荷が大きくなる:固定電話を再起動する必要は絶対にないが、ユーザーによってはVoIP用のATAボックスを再起動する必要が少なからずある
  • 耐障害性に劣る:従来の電話は停電時でも動作するが、VoIPは電気とインターネット接続の双方を必要とする。どちらか一方に障害が発生するだけで電話サービスを利用できなくなってしまう
  • 緊急時のサービスに対するサポートが劣る:連邦政府はVoIPプロバイダーに対してE911の提供を義務づけたものの、プロバイダーによっては緊急電話のルーティングがPSTN線のようには正しく、あるいは迅速に行われなかったりする事態が発生することもあるという問題がまだ残っている
  • 他のテクノロジとの互換性が低い:VoIPはファクスやセキュリティアラームシステムとうまく連携しないことがある(場合によってはまったく連携できないこともある)

 こういったデメリットがあったとしても、VoIPのコスト削減効果が大きければ、ユーザーはVoIPを利用し続ける気でいる。しかし、この状況が変わる可能性があるのだ。VoIPとPSTNの価格差が縮まれば、多くのユーザーは固定電話を使い続けることを望むだろう。

まとめ

 VoIPの人気が高まり続けている理由は、付加的な特徴や機能にもあるが、従来の電話サービスよりもコストが格段に安いということが大きい。このコスト削減には、税額の低さも貢献している。政府がVoIPに料金や税金を課するようになってVoIPのコストが増加すれば、コンシューマー、特に長距離電話をあまりかけず、ユニファイドメッセージング機能にもあまり魅力を感じない一般家庭や小規模企業のユーザーはおそらく、VoIPへの切り替えを見送る結果に終わるだろう。

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