シマンテックは6月28日、企業におけるスパムメール調査の結果を発表した。調査はウェブによるアンケートで実施され、3月にネットワーク管理者を対象とした調査が、5月にエンドユーザー(企業内個人)を対象とした調査が行われた。ネットワーク管理者の有効回答数は566件、エンドユーザーの有効回答数は468件だった。
管理者向けの調査によると、企業全体の1日のメールの受信数は平均10万4000通。約1年前に実施した前回の調査結果と比べると、35%のトラフィック増となる。受信メールの中でスパムメールの占める比率は28%。つまり、平均すると1社あたり約2万9000通のスパムが届いていることになる。
ネットワーク管理者にメール環境の管理課題を聞いたところ、「スパムの増加による従業員の生産性低下」がトップに挙げられた。この項目は、前回の調査では「社内からの機密情報漏えい」「メールによるウイルス感染の拡大」に次いで3位に挙げられていた。シマンテック SMB&エンタープライズ マーケティング部 セグメントマーケティングマネージャーの田上利博氏は、「スパムの増加で、管理工数の負担も上昇している」と指摘している。
一方、エンドユーザーの調査では、企業内の個人が1日に受け取るスパムメールの数は平均108通という結果が出た。エンドユーザーのメールのスパム比率は、ネットワーク管理者が認識している企業全体のスパム比率と同じで28%となった。
エンドユーザーに日常業務へのスパムの影響を聞くと、「仕事のメールが探しにくくなった」(31.4%)「業務中断で集中力や生産性が低下した」(26.7%)「誤って仕事のメールを削除した」(22.6%)などの回答が多かった。
こうした状況の中、企業のスパム対策導入率は57%に上っており、「メールセキュリティ分野の中で最も高い成長率を示している」と田上氏は言う。スパム対策専用ツールとして最も普及しているのは「サーバ用のスパム対策ソフトウェア」で、全体の35.3%が導入しているという結果が出たが、「ユーザーによる手動削除」(43.3%)や「メーラーのスパムフィルタ機能」(30.9%)など、ユーザー任せの手法を利用する企業も多い。その結果、現在のスパム対策に満足しているネットワーク管理者は51%にとどまった。
田上氏は、スパム対策について「管理者やエンドユーザーの負担を実際にどれだけ軽減できるか、という視点に立ったツールの選択が必要とされている」と述べた。
ちなみに筆者の場合、6月28日の午前10時から午後5時までの7時間で受け取ったメールの数は約400通。うち、約100通がスパムメールだった。このあと夜間も休みなく何百通ものメールが届くが、夜間に届くメールは90%以上がスパムメールとなる。上記の調査で挙げられたスパムの影響は、筆者にとっても深刻な問題となっている。