Sybaseは8月6日〜10日の5日間、ネバダ州ラスベガスにおいて年次ユーザーカンファレンス「Sybase TechWave 2007」を開催している。TechWaveとしては9回目、ユーザーカンファレンスまで含めると21回目となる同カンファレンスには、世界46カ国から1600名以上が参加。日本からも50名以上が参加している。
実質的なカンファレンス初日となる8月7日、基調講演にSybaseの会長、社長兼CEO(最高経営責任者)であるJohn S. Chen氏が登場。「Unwired Enterprise and Unwired Customers」をテーマとした講演で、同社が推進する取り組み「Unwired Enterprise」をさらに加速させる次世代アーキテクチャを発表した。
Chen氏はまず、「Sybaseは、エンタープライズシステムにおける情報の管理とモビリティを両立できる唯一のソフトウェア&サービス企業だ。グローバルに展開する我々のソリューションにより、企業は、いつでも、どこからでも、あらゆるデバイスを使用して、ビジネスに役立つ情報のやり取りが可能になる」と話す。
これこそが同社のビジョンであるUnwired Enterpriseの目指すゴールでもある。このビジョンを実現するために同社では、データ管理と統合、分析、モバイルミドルウェア、モバイルサービスの4つの分野でさまざまな企業を買収。情報管理のためのInformation Management部門とモビリティを実現するInformation Mobility部門における製品やサービスのポートフォリオを拡大している。
中でも2006年9月に買収を発表したモバイルメッセージサービス企業であるMobile 365(現在、Sybase 365と呼ばれている)のビジネスが好調。同社の2007年度第2四半期の決算では、総売上が対前年比14%増の2億4500万ドル。そのうちライセンス総売上は7740万ドルで、サービス売上は1億3520万ドル、メッセージング売上は3240万ドルと発表されている。
また2007年7月には、iAnywhere Solutionsの日本法人であるアイエニウェア・ソリューションズが親会社であるSybase米国本社を通じて、大阪府大阪市に本拠を置くGIS(地理情報システム)ソフトウェア企業であるコボプランを買収することを発表。コボプランのGIS製品とSQL Anywhereなどを組み合わせたソリューションを日本国内はもちろん、グローバルに展開することを発表している(関連記事参照)。
こうした取り組みは、「トラディショナルなアプリケーションとモバイルアプリケーションの融合がさらに進み、統合アプリケーションへと向かっていくことになる」とChen氏が占う、今後のエンタープライズアプリケーション市場に対する布石でもある。「Unwired Enterprise戦略は、すでに現実のものだ。しかし、変化する市場に対し、常に挑戦し続けることも必要になる」とChen氏。
そこで同氏が、次に打った一手がUnwired Enterprise戦略をさらに拡張する次世代アーキテクチャの発表だ。