ヴィンキュラム ジャパンは、1991年に流通大手だったマイカルグループのシステム会社であるマイカルシステムズとして営業を開始。2001年、マイカルグループの経営破綻により、2002年にヴィンキュラム ジャパンに社名を変更した。同時に富士ソフト傘下の企業として業績を拡大し、2005年にはジャスダック証券取引所への上場も果たしている。
2007年4月にヴィンキュラム ジャパンの代表取締役社長に就任した城田正昭氏は、同社のビジネスの柱として2つの取り組みを挙げている。ひとつは流通業向けアウトソーシングサービスの提供であり、もうひとつ流通業向けパッケージソフトウェア開発だ。
「パッケージソフトウェアとしては、POSシステムやマーチャンダイジング(商品管理)システム、顧客管理、勤怠管理などが中心です。これまでは、単体の製品として高性能で、高付加価値を顧客に提供できる製品を主眼に開発を進めてきました。しかし現在、ビジネスプロセス全体をカバーするソリューションが求められており、こうしたビジネス環境の変化がMIJSに参加した理由です」と城田氏。
流通業でも他の業界と大差なく、メインフレーム中心のシステムからオープン系システムに移行するユーザーが依然として多い。この大がかりなシステム構築において、同社のPOSシステムが導入されたとしても、企業のポータルはどうあるべきか、シングルサインオンはどうするかなど、周辺業務にさまざまな課題が残ってしまう。
城田氏は、「これまでは、我々のパッケージと他社のパッケージを連携する仕組みをピア・ツー・ピアで構築していました。しかしこれでは、コストや開発期間がかかるのはもちろん、我々があまり得意でない分野の連携システムまで構築しなければならず、リスクも高くなっていました」と話す。
そこで、ポータルやワークフロー、EAIなどの製品を持つベンダーが参加するMIJSに加わることで、顧客が必要とする最適なソリューションを提供することが可能になると考えた。
同社がMIJSに参加したのには、もうひとつ理由がある。
「ヴィンキュラム ジャパンとしてさまざまなパッケージ製品を開発し、数多くのユーザーに導入された実績を持っていますが、プロダクトの作り手として井の中の蛙になることなく、他社の開発手法を学ぶことが必要だと考えたのです」と城田氏は言う。
「MIJSに参加している企業は、それぞれに特徴的なソフトウェアを持っています。ここに参加し、各社のパッケージと連携することで、さらに高い価値をユーザー企業に提供できると考えました。また、MIJSは海外進出も目指しているので、我々1社ではできないことも、MIJSでなら可能になるのではないかと考えました」
一方、アウトソーシングの分野では、データセンターにおけるハウジングやホスティングの受託を中心にビジネスを展開している。また、自社パッケージ製品を活用したASPモデルでのビジネスも提供している。城田氏は、「今後、MIJSでもSaaSモデルの実現を目指しており、我々の経験やノウハウを生かすことができるのではないかと考えています」と話している。