OSS基盤に「SaaS・人材育成・オフショア開発」の“サイクル”回す--日本SGI - (page 2)

田中好伸(編集部)

2007-09-25 12:30

 「Linux自体で利益を得ようとするならば、ディストリビューション事業を展開することになりますが、実際のところディストリビューターはどこもうまくいっていないのが実情です。ディストリビューターとしてビジネスを展開するには、得意なユーティリティ系ソフトを組み込む、あるいは人材育成的なサービス、もしくは技術サポートが源泉になります」

 そうした分析から、日本SGIとしてLinux/OSSを基盤としたビジネスとしてSaaS事業を展開するのである。ここでのポイントは、OSとミドルウェアからなる基盤の上に、他社と差別化できるアプリケーションのレイヤに踏み込むことだ。

 「付加価値のあるアプリケーションに対価を支払ってもらうことになります。そこではコアコンピタンスを持つ必要があり、きめ細かいサービスメニューを提供することが求められています」(高澤氏)

旧OSDLの日本の統括責任者に

 高澤氏は1999年に日本SGIに入社したあとで、Linuxビジネスを推進するという仕事に携わるようになる。米SGIに各種アプリケーションをLinuxに移植するチームが発足し、高澤氏は、そのチームを日本法人で対応することが求められたのである。具体的には、コンピュータグラフィックス(CG)系、データベース(DB)系、ストリーミング系の分野でLinux関連ビジネスを立ち上げるという仕事を担当していた。

 その後、2001年に日本SGIでは、Linux専用サーバを製品化する計画を延期してしまう。ここから同社でのLinux関連ビジネスは、ソフトウェアと一緒にハードウェアを売ることを方針転換し、Linux/OSSのソフトに注力するようになり、そのことは現在に至るまで続いている。

 2001年になってから、高澤氏は日本SGIを休職して、Linux/OSS関連団体で働くこととなる。旧Open Source Development Labs(OSDL、現在はThe Linux Foundation:TLF)の日本での初代の統括責任者を2003年まで務めている(なお、TLFの現在の日本での統括責任者は工内隆氏)。このほかにも、Linux技術者認定機関である特定非営利活動法人(NPO法人)のLPI-Japanの理事、日本Linux協会(JLA)の理事や副会長など、広く業界団体やコミュニティーの活動に参画している。

 そして2003年秋に高澤氏は日本SGIに復職。現在のアドバンスドテクノロジーコミッティで、Linuxの専門家という立場であるチーフLinuxコンサルタントとなっている。パートナーの開拓や有効なソリューションの探求など、Linux/OSSビジネス全体を開発するのが、主な仕事内容となっているという。このために、海外のイベントに参加したり、日本国内の外部団体で活躍したりしている。

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