Forrester Researchの主席アナリスト Ron Rogowski氏が2005年に実施した「How Japanese Brands Succeed Online」という調査で同氏は、日本企業のサイト構築におけるブランド戦略を調査した。この時Rogowski氏が使った「ブランドアクション」と「ブランドイメージ」という指標を使い、同氏は2007年8月に再びオンラインブランド調査の実施、その結果を9月に発表した。
前回Rogowski氏が調査したのは日本企業だが、今回調査対象となったのは、世界的にブランド力が高く評価されており、Interbrandが毎年行っている「Top 100 Global Brand」にランクインしているブランドだ。その中から選ばれたAudi、BMW、Channel、Citi Smith Barney、Gucci、JP Morgan、Lexus、LG、Louis Vuitton、Mercedes-Benz、Merrill Lynch、Morgan Stanley、Panasonic、Philips、Porsche、Rolex、Samsung、Sony、Tiffany & Co.、UBSという20ブランドに焦点をあて、Rogowskiはサイト上でのブランド構築について調査した。なお、今回同氏が調査したのは、各ブランドの米国版サイトとなる。
指標の1つとなっているブランドアクションは、サイト上で必要な情報が見つけやすいか、サイトで使われている言葉が誰にでもわかりやすいものか、文字の大きさは適切かなど、ユーザーにとってサイトが使いやすいかどうかを調べたものだ。一方のブランドイメージは、サイト上のコンテンツや機能、言葉、イメージなどがブランドの位置づけと一致しているかどうかを調べている。
こうした指標で調査した結果、「20ブランドのうち、ブランドアクションとブランドイメージの両方の指標で合格点となったのはLexusのみだった」とRogowski氏は言う。特にブランドアクションは全体的に点数が低く、「ブランドアクションで合格点となったのはLexusとMorgan Stanleyだけだ」とRogowski氏。
LexusについてRogowski氏は、「車の種類が明確にメニュー化されていることはもちろん、車種のメニューにマウスを重ねるだけで車のスペックや価格が表示され、ユーザーに合った車が選びやすくなっている」と指摘する。また、各車種のページに行くと、車についてのより詳しい機能やオーディオシステムの説明なども用意されており、「重要な情報はすべてそろっている。また、コンテンツや使用されている言語が商品をより際立たせている」とRogowski氏は説明する。
Lexusのサイトにマイナス要素はなかったのかを聞くと、Rogowski氏は「文字が小さすぎて読みにくい点だ」と話す。文字の見やすさについては、「20サイト中2サイトしか合格点に達しなかった」とRogowski氏。「限られたスペースにできるだけ多くの情報を詰め込もうとするサイトが多い。しかし実際には文字が小さいために、伝えたいことがうまくユーザーに伝わっていないケースが多い」と同氏は指摘する。
また、多くの企業はブランドの特性を決めているが、「その特性は常に幅広くなっていきがちだ。それがLexusは、ブランドの特性として『質』『高級感』『最高の満足感』を挙げていて、常にこの3点に徹している。サイトもこうしたブランドの特性に合うよう、徹底している」と評価した。