こうした形で進められてきているAsianuxには、この9月にベトナムのVietsoftwareが参加。Asianux参加企業は、4社になっている。
これまでAsianuxは、たとえば「MIRACLE LINUX V4.0 - Asianux Inside」といった形で各国で異なるブランド名で展開されてきた。しかし、開発から4年がたち、協業・開発体制が整ったことから、この9月にブランドを統一して、「Asianux Server 3」という同一の名称で各国で販売されている。
日中韓で販売されていることからAsianuxは、そのプレゼンスが大きく向上。米企業にも存在感を示していることから「Asianuxサポートをうたう米企業も増えています」(同氏)と、当初の目的が達成されている。
生粋のハッカー
ミラクルがカーネルハッカーを抱えるLinux、オープンソースソフトウェア(OSS)の世界では有力な企業であるように、CTOである吉岡氏も「プログラムを読んだり作ったりするのが好きな」有名なハッカーだ。
製品発売に合わせてミラクルは、Asianuxに関するセミナーを開催。セミナーでは、スクリプト言語「Ruby」の開発者である、まつもとゆきひろ氏が講演している。その際、吉岡氏はまつもと氏を「個人的に尊敬するプログラマ」と紹介すると、まつもと氏は「吉岡さんから尊敬されているプログラマと紹介されて嬉しいです」と、互いに認め合っているハッカーであることを明かしている。
ハッカーである吉岡氏の活動は、当然社外にも及んでいる。事実、1999年から「カーネル読書会」を主宰し続けている。カーネル読書会は、Linuxカーネルのソースコードを参加者で読むということを当初目的にしていたが、現在では、OSSに関連した議論をする会になっているという。
このカーネル読書会は、月に1回程度開催されており、参加者は30〜80人程度だという。カーネル開発者ももちろんいるが、Linuxの利用者を中心に初心者からベテランまで、さまざまな技術者が参加している。1999年から主宰し続けられている理由について、吉岡氏はこう語る。
「楽しいし、ネタを提供してくれる人もいるから、続けられている。実際のソフトを開発している人が多く発表してくれていて、開発秘話というか、その人しか語れない話をいっぱい聞けるので、続けてきてよかったと思っています」
業務としてLinux/OSS開発に携わり、プライベートでもLinux/OSSを趣味にしている吉岡氏は、生粋のハッカーと言うことができるだろう。