MIJS企業訪問(第19回)フライトシステムコンサルティング--24時間365日止まらないシステムを提供

宍戸周夫(テラメディア)

2007-12-05 12:00

止まらないニーズへ対応

 フライトシステムコンサルティングの原点になったのは画像処理の技術だった。1988年の創業以来、この技術力を背景に映像や音楽データ、数字で扱えないデジタルコンテンツのデータベース化やその管理、配信までのトータルサービスを提供している。多チャンネルデジタル衛星放送の現在のスカイパーフェクTV!(スカパー)が1996年に開局すると、スカパーをはじめ、地上デジタル、ワンセグなど国内の主要な放送局および関係各社のプロジェクトに参画し、映像・動画・音楽などデジタルコンテンツの制作・管理・配信に関するコンサルティングからシステム開発までを担ってきた。

 その会社が、現在の主力製品であるクラスタソリューションを生み出すのはいわば必然の流れだった。社長の片山圭一朗氏はこう言う。

 「放送局のお客様は当然、24時間365日安定して稼働するシステムを要求されます。しかし、われわれがコンサルティングでお客様のこうした課題を解決しようとするとき、ネックになったのがハードウェアベンダーの箱物でした。放っておくと、ハードがIT予算の大半を占めてしまい、肝心のソフトやシステム開発にコストを掛けられないということがあって、スカパーが開局した当時はデータベースを止めないだけに何億円というハードウェアを提案していたのです。当時はそれ以外手法がなかったのです」

 その後インターネットが広がってくると、データベースを止めないだけに多額の予算を割くのはばかばかしいという意識が広まる。同社も、誰かが安価で止まらないコンピュータを出してくれればいいと思うようになったが、なかなかそのようなベンダーが出てこない。そこで、自分自身で止まらないソリューションを開発しようと考えた。

 目をつけたのは、米Sun MicrosystemsのSolarisだ。2001年、SunのScott McNealy会長に直談判。PCで動くPC SolarisのOEM供給を受け、これを基盤に「FLIGHT Total Cluster」という国産のPCサーバ二重化ソフトを開発した。

 ハードウェアのフォールトトレラントとは異なるが、手軽にシステムの可用性を実現するには格好のソリューションである。2台のPCサーバにFLIGHT Total Clusterを入れると、ユーザーからは1台に見える。システムがダウンしたと思っても実際は2台あるから、FLIGHT Total Clusterが自動的にもう1台を立ち上げると、ユーザーからはシステムが継続して稼働しているように見える。クラスタソリューションの特徴だ。

片山圭一朗氏 フライトシステムコンサルティング代表取締役社長の片山圭一朗氏

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

関連記事

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  2. セキュリティ

    マンガでわかる脆弱性“診断”と脆弱性“管理”の違い--セキュリティ体制の強化に脆弱性管理ツールの活用

  3. セキュリティ

    情報セキュリティに対する懸念を解消、「ISMS認証」取得の検討から審査当日までのTo Doリスト

  4. セキュリティ

    ISMSとPマークは何が違うのか--第三者認証取得を目指す企業が最初に理解すべきこと

  5. セキュリティ

    クラウドセキュリティ管理導入による投資収益率(ROI)は264%--米フォレスター調査レポート

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]