SMB、SaaS、グリーンITがカギに--IDC Japanが2008年国内IT市場10大予測を発表 - (page 3)

柴田克己(編集部)

2007-12-17 18:55

7.SMB市場がIT市場拡大のカギを握る

 日本におけるSMBのIT投資金額規模は、2007年で全体の30.8%を占め、4〜5%の成長率で推移している。しかし、SMBがマクロ経済の影響を受けやすいことを考えると2008年の成長率は予測を下回る可能性がある。SaaSの導入に積極的な姿勢を示すのはSMBであり、特に100人以下の規模のユーザーが利用したいアプリケーションが適切な価格で提供されれば、投資規模を拡大する要因となる。しかし、そのためには、ベンダー側もSI業者やリセラーに任せっきりではなく、直接ユーザー企業の経営者に対して、商品のメリットを説明できる体勢を作るなどの、積極的な取り組みが求められる。

8.高速無線通信に向けたインフラ用機器と、その端末機器のそれぞれで主導権争いが始まる

 通信事業者にとっては、動画に代表される、より大容量のデータ送信によって、加入者や通信量が拡大し、サービス収入の増加が期待できる。携帯端末ベンダーにとっては、新製品の市場への投入機会が訪れる。利用者にとっては、携帯電話や携帯端末で動画コンテンツを楽しむ機会が増え、YouTubeなどを代表とする、個人間のコミュニケーションを可能にした仕組み等、多様な進化が見られることで、新たな市場が生まれる可能性がある。

9.企業VoIP市場の裾野が拡大する

 企業向けVoIPシステム市場は2つに分類される。1つは自営VoIPシステムを構築するためのVoIP機器市場。もう1つは、通信事業者が提供するVoIPサービス市場だ。IDCの調査では、2007年までに両市場とも緩やかに成長を続けており、ユーザーのVoIP利用に関する受容傾向は、2008年以降も続くだろう。一方、2007年でのIP-PBX市場の伸長は、それ以前と比較して鈍化しているため、大企業の主要拠点へのIP-PBXの導入は一巡したと見ることができる。また、2000年問題を懸念して1999年までに導入された地方拠点のレガシーPBXや中堅企業のPBXが2008年ごろよりリプレース期を迎える見込みである。これらから、2008年の企業向けVoIP機器市場は、大企業の地方事業所およびSMB向けの比率が高まるだろう。

10.サービスの共同利用化が進み、アウトソーシングが拡大する

 2008年の国内ITサービス市場は、いくつかの不安要素を抱えつつも、継続した成長を見せるだろう。システム構築だけではなく、アウトソーシングにおいても共同利用の流れが拡大する。また、現在、地銀やクレジット業界など、金融業を中心に行われている業種特化型の共同利用型システム、アウトソーシングは2008年に入っても拡大を続けるだろう。

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