IT専門調査会社のIDC Japanは10月29日、2011年までの国内ビジネスアウトソーシング市場規模予測を発表した。調査によれば2006年の同市場は前年比6.2%増の8346億円となっている。2006年から2011年にかけての年間平均成長率(CAGR)は5.0%で推移し、2011年に1兆650億円に達する見込みとしている。
同市場の主流となっている人事、カスタマーケア、財務・経理、調達・購買分野は2007年に、前年比5.5%増の8809億円になると同社ではみている。
業務拡大などを背景に、企業の人材不足感は高まる一方で、景気拡大期でもコスト削減は企業の最重要経営課題のひとつとなっている。企業は人材コストの増加を抑えながら、成長や業務基盤の維持継続を行っていく必要性に直面している。
その中でも企業は、市場環境の変化や法制度の変化に対応していく必要に迫られている。こうした経営上の課題に対応していくために、企業は人材の自前主義から派遣社員など外部人材の活用、業務ごとにサービスとして利用するといった対応をしている。
こうした人材活用に関する企業の戦略変化を背景に、国内のビジネスアウトソーシング市場は拡大を続けている。その内容も、給与業務などの労働集約的な業務を請け負うものから、債権管理など専門的な知識を必要とするものにまで広がっている。
IDC Japanが予測した4つの業務分野の中では、財務・経理、調達・購買に関連したビジネスアウトソーシング市場が、現在の市場規模としては比較的小さいものの、今後、金融商品取引法、電子記録債権法などの新しい法制度の後押しなども受けて、高い成長を遂げるだろうとしている。
ただ、サービス提供を担うベンダー側でも、ユーザー企業同様人材が不足しており、IT化での価格低減やITベンダーのビジネスアウトソーシング分野への参入など、競争環境も厳しくなりつつある。
こうしたことから、同社のITサービスグループマネージャーの寄藤幸治氏は、「サービスベンダーは、コスト削減、業務改善といったニーズ充足だけでなく、法制度など環境変化を先取りしたサービスの提供や、顧客セグメントごとの細かな対応などで競争を勝ち抜く姿勢を持つべきである。ベンダー自身の内部統制を証明する外部認証取得による、企業の内部統制関連需要の取り込みも期待される」と分析している。