データセンターを取り巻く状況は、ますます複雑化の様相を呈している。従来の構造化データの増加はもちろんのこと、画像や音声、文書などの非構造化データが爆発的に増加している。管理者は、この状況にどう対応すればいいか頭を悩ませている。
加えて、仮想化技術を活用してサーバを統合することで、効率的な管理方法が求められるようになっている。また、サーバ統合やデータ量の増加に軌を一にして、ストレージの導入を効率化できないかという悩みも出てきている。無計画にSAN(Storage Area Network)を組むばかりでは、ストレージのサイロを増やすだけで、効率的な管理ができないからだ。
そして、サーバやストレージの増大によって、消費電力が増えるだけではなく、発熱量の高まりによって、冷却装置も増やすという事態になり、ますます電気代がかかるという悪循環に陥る可能性も出てきている。環境問題への意識の高まりとともに、ITシステムの効率的なエネルギー消費を求める“グリーンIT”への対応も求められるようになっている。
データセンターを活用する側である大企業や中堅企業も、こうした問題を抱える一方で、自らの問題を解消したいという願いがある。つまりは、データセンター活用にかかるコストを削減したい、運用管理にかかわる複雑性を解消したいというものだ。さらには、より効率的なデータセンターの活用を求めて、従来とは異なった、次世代のデータセンターのためのアーキテクチャの見直しをも進めようとしているのである。
もともとデータセンターを構成する要素技術は多種多様なものであった。しかし、ここにきて、データセンターの内部はもちろん、データセンターを外側から活用する企業の現場でも、SANやサーバ仮想化、WAFS(Wide Area File Service)などの新しい技術の普及によって、データセンターは複雑化しているのである。
こうした事態に対して、SANスイッチやダイレクタ(電源などを二重化して可用性を高めたファイバチャネル=FC用の大規模スイッチ)を開発・製造するブロケード コミュニケーションズ システムズは、データセンターの最適化を図るという構想「Brocade Data Center Fabric(DCF)アーキテクチャ」を進めている(参照記事=SANで共有、仮想化でサーバ統合……--データセンター内で何が起きているのか)。
この11月から新しい会計年度に入ったブロケードで代表取締役社長を務める石本龍太郎氏はこのほど、2008年からの事業戦略説明会の席上で、DCFアーキテクチャに基づいた製品群を、2008年上半期に相次いでリリースすることを明らかにした。
具体的には、DCFアーキテクチャの中核となる、マルチプロトコルバックボーン「Brocade DCX」、同アーキテクチャをサポートする、サーバと周辺機器を接続するためのインターフェースコントローラであるHBAとインテリジェントサーバアダプタ(ISA)を進化させたというサーバ接続製品になる。加えて、サーバやストレージの内部にあるファイルへのクライアントPCからのアクセスを容易に効率よく管理するという技術である「FAN(File Area Network)」管理ソリューション、DCFアーキテクチャを包括的・シンプルに管理するという管理ソフトウェアも、2008年上半期にリリース予定としている。