ソニック ソフトウェアおよびデータディレクト テクノロジーズは3月4日、両社の代表取締役社長に田上一巳氏が就任したことを発表した。ソニック ソフトウェアおよびデータディレクト テクノロジーズは、共にProgress Softwareを親会社とするグループ企業の日本法人。田上氏は、2008年3月1日付けで同職に就任している。
両社の社長を引き受けた理由を田上氏は、「親会社であるProgressは、非常に自由度の高い会社。もちろん結果は求められるが、予算内であれば好きなことを自由にやらせてくれる社風がある。ソニックとデータディレクトの統合も、非常に興味深くチャレンジしがいのある仕事だと思った」と言う。
田上氏は、1986年のロータス創設メンバーの1人で、製品開発から営業、マーケティングまで広範な分野で要職を歴任。その後、ウェブブラウザベンダーであるスパイグラスのゼネラルマネジャーを経て、2000年からBIソリューションを提供するコグノスの代表取締役社長に就任した。
また、2004年にはEAI企業のシービヨンド・テクノロジー・コーポレーションの代表取締役社長および韓国法人の代表を兼務。2006年にはジャストシステムの執行役員 xfyエンタープライズ事業本部長として、XML開発基盤であるxfyの普及を促進した。
ソニックとデータディレクトの統合がミッション
ソニック ソフトウェアは、エンタープライズサービスバス(ESB)に基づくシステム統合基盤である「Sonic ESB」を中核に、SOAベースのシステム連携ソリューションを提供。一方、データディレクト テクノロジーズは、ODBC/JDBC製品である「DataDirect Connectシリーズ」によりデータベース連携のためのソリューションを提供する。
「システムを連携するという意味では、共に同じビジネスの方向性を持った会社。メインフレーム統合製品のDataDirect ShadowやXML統合開発環境のStylus Studio、BAMプラットフォームのApamaなど、両社の製品を組み合わせることで、システム統合の幅をより一層拡大することが可能になる」と田上氏。
社長就任により田上氏は、まずソニック ソフトウェアとデータディレクト テクノロジーズの事業を統合するための新会社設立を目指すという。両社の統合では、マーケティングや営業分野の統合強化はもちろん、人事総務、財務経理、ITサポートなどのバックオフィス機能も集約し、オペレーションも効率化する。
田上氏は、「(法律的な問題なども含めた)物理的な会社の統合作業は、まだ先の話し。両社はこれまで、まったく別の会社としてシステム連携ビジネスを行ってきたので、競合の意識があるのではと思うこともある(笑)。まずは社員の交流を通じ、同じ会社の一員だという意識を持ってもらう意識改革から始めたい」と話す。
「両社のコアソリューションであるデータ連係とXML連携をうまく組み合わせることで、より効果的なシステム連携基盤を、パートナー企業と共に顧客に提供できる。このとき重要なのは、すべてをXML化するのではなく、XML化しやすいものはXML化し、XML化しにくいものはデータ連係で対応するという柔軟性だ」(田上氏)
XML連携とデータ連係のためのソリューションを持っているソニック ソフトウェアとデータディレクトのビジネス統合で鍵となるテクノロジがXMLだ。「ソニック ソフトウェアの担当者がデータディレクト製品を理解し、データディレクトの担当者がソニック ソフトウェア製品を理解することが重要になる」と田上氏は話す。
「ただし、XMLが今後のビジネスの鍵になるからと言っても、前職で担当していたジャストシステムのxfyなどと競合になるわけではない。いまは、XML市場を大きくしていく時期であり、協力できる会社とは、どんどん協力して、まずはエンタープライズ向けのXML市場を確立していきたい」と田上氏。
同氏はまた、「今後、両社のビジネスを拡大して行くには、アライアンス戦略やパートナー戦略の統合も重要な取り組みのひとつとなる。日本にはソフトウェアベンダーが多いので、OEMパートナーを強化していきたい。また、エンタープライズ向けであることから、ソリューションを構築してくれるSI企業との関係強化も重要だ」と話している。
「今後のビジネス強化でポイントになるのは、(我々が提供する)ツールの優位性が3分の1、SIの技術力が3分の1、アプリケーションエンジニアの確保が3分の1と考えている。特に業務知識を持っているアプリケーションエンジニアがどれだけいるかが、ビジネスの差別化になる」(田上氏)
現在、ソニック ソフトウェアおよびデータディレクト テクノロジーズでは、両社あわせて50社程度のパートナー企業と日本市場でのビジネスを展開している。田上氏は、「2008年夏ごろまでには、パートナー企業数を今の倍にあたる100社程度まで拡大したい」と、今後の抱負を話している。