日本ヒューレット・パッカード(日本HP)はこのほど、ITサービス管理ソフトの新版となる「HP Service Manager 7.0 Software」(Service Manager)を4月から出荷すると発表した。ITサービス運用管理のデファクトスタンダードとなりつつあるITIL(Information Technology Infrastructure Library)の最新版であるヴァージョン3(ITIL v3)に基づいた管理プロセスを支援できるとしている。
ビジネスのITへの依存度は日増しに高まりつつある一方で、ITの運用が全体最適化の途上にあるために、ビジネス環境の急激な変化に対応できない、臨機応変にシステムの変更ができない、システムの問題にいかに対処すべきかという知識(ナレッジ)が蓄積されないために対応が後手に回る、対応が一元化されていないためにムダな運用コストが発生している――などのさまざまな問題が発生している。
新製品となるService Managerは、迅速な問題解決のためのナレッジの蓄積・有効利用や変更管理を確実にするためのワークフロー管理ソフト「HP Service Center」のアーキテクトや機能をベースに、サービスデスク対応ソフトの「HP Service Desk」の機能を統合したITサービス管理ソフトになる。同社がこれまで提供してきたITサービス管理ソフトの2つを統合することで、インシデント管理から構成管理まで、全体にわたって一貫性のあるプロセスの最適化が図れるようになっているという。
Service Managerでは、専用のナレッジ管理用エンジンを実装、ITILの各プロセスで蓄積された情報や、新しくナレッジとして登録されたデータを横断的に検索できるようになっている。日本語の文節を認識することでキーワードを抽出、精度の高い検索が実行できるようになっているという。
同ソフトは、障害対応のヘルプデスク機能を提供する。加えて、サービス利用開始申請やアカウント追加・削除要求、サービス利用登録などといった、エンドユーザーからのリクエストの総合窓口になる「サービスカタログ」機能を搭載している。
またService Managerでは、ITILに沿ったワークフロー管理をサポートする。インシデント管理から問題管理、変更管理、リリース管理、構成管理までの流れを一元的に提供する。たとえば変更管理で、変更要求の正しい起票、変更リスクの分析と制御、カテゴリに合わせた承認フロー、変更ステータスの更新と参照などによって、変更プロセスを可視化するというものだ。こうした機能によって、運用体制の標準化を図れるようになるという。
同ソフトには、ITILプロセスに必要な構成情報とその関係、加えてさまざまなインシデントや変更作業、リリース情報などを管理するため、IT運用のための統合リポジトリソフトとなる「HP Universal CMDB」の基本モジュールを搭載している。Universal CMDBを活用することで、資産管理やサーバ監視などのさまざまな管理ツールとの連携が容易に実現できるという。変更時の影響分析やレポート機能を提供する。
日本HPでは、Service Managerの対象を、たとえば1000台のサーバを運用している、あるいは数万人のエンドユーザーからの問い合わせがある、といった大企業などとしている。