進化するテレビ会議(6)--アエスラ:通信機器のノウハウ活かす会議システム - (page 3)

小山安博

2008-03-19 10:30

 aethraの製品では、特にイタリア人の工業デザイナーを採用したデザインが特徴的。ビジネス向けのテレビ会議システムでデザインに注力しているのがイタリアらしいと言えるかもしれない。

 デザインだけでなく、機能的に特徴的な部分としては、まず利用帯域の少なさが挙げられる。このあたりは、もともと通信機器メーカーであるという強みを生かした部分で、720pのHD映像も、他社に比べて低い帯域で送受信できるという。

 一部のモデルに「多地点接続装置」(MultiPoint Control Unit:MCU)の機能を内蔵可能という特徴もある。通常、3地点以上とテレビ会議を行うためには、専用のハードウェアであるMCUを用意する必要があるが、aethraのMCU内蔵モデルであれば、1台を親機とし、ほかの拠点の製品を子機とすることで多地点とのテレビ会議が可能になる。aethraでは最大8拠点とのテレビ会議ができる。

 MCUを内蔵することのメリットは、大幅なコスト低減が図れることだ。一概には言えないものの「MCUで300万円かかる場合、100万円ぐらいコストが下がる」(同氏)という。aethra自身は専用のMCUもラインアップしており、こちらはさらに高機能で、12拠点に対応、6拠点と6拠点の2つの会議システムを作るなど、内蔵型にはない機能を実現している。

 aethra製品には、オートトラッキング機能も搭載。この機能では、声を認識してカメラが話し手にズーミングすることで、誰が話しているのか分かりやすくなる。

 また、画像自体に差はなくても、伝送する音声には工夫を凝らしているのも特徴であり、マイクのサンプリング特性だけでなく音の作り方にも配慮。aethraは中低音が聞きやすいような作りになっており、英語圏向けの製品よりも日本人が聞きやすいのだという。ノイズリダクションやエコーキャンセラなどもうまくチューニングしており、「長い会議も疲れない」(同氏)そうだ。

 PCとの連携機能も搭載。国際規格で業界標準の通信プロトコルである「H.239」を利用することで、PCの画面とカメラの映像を送受信できるので、遠隔地ともプレゼンが行えるというのもメリットだ。同様の機能を実現している製品の中では他社とも比べて「コスト的にも安くできるようになっている」(同氏)という。

 aethraの製品は、HDに対応した「VEGA X7」、MCUを内蔵した「VEGA X5」、コストパフォーマンスが高い「VEGA X3」、コンパクトな「Vega ProS」、デスクで使うIP・SIP対応ビデオフォン「MAIA XC」、外部出力が可能なテレビ電話「Theseus」、MCUを内蔵したコーデックシステム「AVC 8400」、専用MCUの「aethra MCU」という8製品をラインアップ。トータルソリューションとしてテレビ会議システムを構築可能になっている。

XC オールインワンのビデオフォン、Maia XC

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