この1〜2年、会議システム市場に大きな動きが出てきている。専門ベンダーとは異なる分野の企業が参入してきているからだ。その1社がマイクロソフトだ。同社は会議システムを含む“ユニファイドコミュニケーション”というアプローチで会議システム市場に参入している。
360度パノラマで撮影するRoundTableが人気
そのマイクロソフトが2007年10月に発表したウェブ会議用カメラ「Microsoft RoundTable」は多くの注目を集めた。5台のカメラを上向きに搭載した、この装置を会議テーブルの中央に設置すれば、テーブルを囲む出席者の様子を円錐状のミラーに反射させて、360度パノラマで映し出せる。
発言者の声と顔を自動認識して、別ウインドウにクローズアップで表示する「アクティブスピーカー」機能もある。話者が移動すると追跡して映すことができ、携帯電話の呼び出し音やくしゃみなどの雑音には反応しない。
会議で使用する資料も同じ画面上に表示して、お互いに書き込むなどの共同作業も可能だ。資料は独自の形式に変換して表示するため、相手が資料を作成したソフトを持っていなくても共有できる。こうした機能を利用すれば、リモートからでも臨場感を持って会議に参加できそうだ。
こうしたRoundTableを含む「Microsoft Office Communications Server 2007」によるウェブ会議ソリューションを、マイクロソフトは一般のウェブ会議システムとどう差別化しているのだろうか。
マイクロソフトのシニアプロダクトマネージャである桑原智宏氏は「第一には手軽さだ」と話す。手軽さを象徴するのが、RoundTableのUSB接続。一般的なビデオ会議システムは据置型がほとんどだ。「そうしたハイレベルな会議ではなく、またコンシューマーレベルでもない、その中間を狙った。手軽さと、会議に必要十分な機能を提供する」と話す。
手軽さという観点では、マイクロソフトは「Microsoft Office Live Meetingサービス」と呼ぶASP型のオンラインサービスも提供している。利用料金はPC1台あたり月額1000円。利用目的が会議だけであって、RoundTableを使いたい、あるいは多地点でファイル共有したい、といった程度の利用であればASP型で十分と言える。
一方、Office Communications Server 2007などの専用サーバを導入するケースは、セキュリティを確保したい場合や、会議の内容を管理したい場合だろう。クライアント側については、ASP型と専用サーバ型との違いを意識する必要はまったくない。社外からアクセスする場合はASP型でアクセスし、社内からのアクセスであれば専用サーバにつなげるだけのことだ。クライアントの使い方、手軽さはまったく同じだ。