Microsoftは米国時間6月2日にハイエンドERP(企業資源計画)アプリケーションである「Dynamics AX 2009」の最新バージョンの提供を開始した。
この最新の「Axapta」リリース(AX 9.0としても知られる)には数多くのおまけがついてくる:ひとつのビューにあらゆる種類の主要業績評価指標(KPI)を表示するコンプライアンスセンターダッシュボード、タイムゾーンのサポート、そして(まだ出荷されていない)データベース「SQL Server 2008」リリースとの統合である。しかし最近Microsoftが筆者のためにデモしてくれた際にAX 2009のなかでもっとも目を引かれたのは、それが非常に多くの異なるMicrosoft技術を披露するアプリケーションであるということであった。
「これはMicrosoftのアプリケーションプラットフォームにとっては、Xboxにとっての『Halo』のようなものなのだ」とDynamics AXのプロダクトマネジメントディレクターであるKees Hertogh氏は述べている。
AX 2009にはありとあらゆるMicrosoftの技術が取り込まれている、あるいは駆使されている:
- MicrosoftのほかのDynamicsラインと同様に、AXでは今度、アプリケーション全体にOffice風の外観と感覚を取り入れ、「Office-Ribbon」スタイルのアクションウィンドウを誇っている。
- アプリケーション内に「Windows Workflow」エンジンを組み込んでいるために、ビルトインのビジネスプロセス自動化がさらに充実し、管理者が異なるモジュールに適用されるルールやポリシーを設定することができるようになった。
- Microsoftスタイルのビジネスインテリジェンスがアプリケーションの一部を成している。AX 2009では「SQL Server OLAP」キューブが組み込まれ、あらかじめ定義されたKPIセットとともに出荷される。
- この新ERPアプリケーションは戻ったり進んだりできるボタンとブレッドクラムバーを備えている。これは「Internet Explorer」を使ったことがある誰にでも親しみやすい。
- 「Office United Communications Server」のサポートは本製品に直接統合されているため、ユーザーはPBXとVoIPシステムを直接バックエンドERPシステムに統合することができる。Microsoft 「SharePoint Server」「BizTalk Server」「Project Server」でも同じで、当然のことながら統合ツールがビルトインされている。
- AXはクレジットカード処理やUPS経由の送付といったウェブサービスを発行する。そしてほかのベンダーやユーザーはカスタマイズされたウェブサービスを作成してAX 2009により利用できる。「MicrosoftのSOA技術を利用してこれらのサービスを顕在化させ、消費する」とHertogh氏はいう。
Microsoftは開発者にWindows Workflow技術であるOffice Ribbonを各自のカスタマイズされた業種別アプリケーションに統合するように奨励し続けている。これまでのところそれを実行している開発者は比較的わずかである。これはツールの不足やMicrosoftスタックに縛られすぎるのを恐れるため、またはその他の理由による。
第3者アプリケーションベンダーは、もっとMicrosoft技術を各自の業務用またはウェブアプリケーションに取り込み始めるように前進するだろうか?そうだとすれば、あるいはそうでないとすれば、なぜか?
アップデート:Sunrise Technologiesのシニアテクニカルアーキテクトで、Dynamicsの主要幹部とのためになる質疑応答を投稿していたBrandon George氏は、「生き残りたい、または収益性を高めたい」アプリケーションベンダーはMicrosoftスタックをもっと取り込むことが助けになると考えているという。賛同するか?
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ