インタラクティブ・インテリジェンスは6月25日、IPコミュニケーションソフトウェアスイートの最新版「Customer Interaction Center 3.0日本語版」(CIC 3.0)の販売開始を発表した。
CICは、Windowsベースのサーバ上で、IPコンタクトセンターに必要とされる機能をオールインワンで提供するソフトウェアスイート。SIP準拠のIP-PBX機能、ユニファイドメッセージング機能を備え、コンタクトセンターだけでなく、エンタープライズ向けのビジネスIPコミュニケーション基盤としての利用も可能な製品である。
最新版となる3.0では、セキュリティの強化、モバイル対応、Microsoft Office Communication Server(OCS)との連携機能などが新たに搭載されている。セキュリティ面では、TLS、SRTPのサポートにより、IP経路上でエンドツーエンドの通話暗号化を実現した。また、OCSとの連携により、ユーザーはフロントエンドのインターフェースもしくはバックエンドの環境を自由に選択できるという。サーバを併存させる場合も、ステータス同期などの機能により、両製品のユーザー間で問題なくコミュニケーションが行える。そのほか、新バージョンでは、Windows Mobile 5.0/6.0向けのユーザーインターフェースを提供し、電話会議やプレゼンスの参照などをモバイル機器を通じて行えるようになっている。
Interactive Intelligenceは1994年に米国で創業。日本支社は1997年より営業を開始しており、長きにわたってIPテレフォニーの市場でビジネスを続けてきた。日本では、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、豊通シスコム、岩崎通信機などをパートナーに持ち、楽天バンクをはじめ、50社以上への導入実績があるという。
1994年といえば、まだIPベースのネットワーク自体も現在ほど広範に普及していなかった時代。その中で、同社は創業時から、IPによるコミュニケーションと、Windowsベースのソフトウェアソリューションにフォーカスしてきたという。当初は、ビジネスコミュニケーションの分野からスタートし、顧客のニーズに合わせる形でコンタクトセンターソリューションの機能も充実させてきた。日本では、特にCRMと連携可能なコンタクトセンターソリューションとしての導入が盛んという。Pivotal、People Soft、Siebel、Microsoft Dynamics、Salesforce.comといった、一般的なパッケージCRMとの連携に加えて、APIによる独自の統合機能の開発が容易な点もCICを選ぶメリットのひとつであるとする。
近年、従来のIT(Information Technology)に代わる言葉としてICT(Information and Communication Technology)という言葉が使われるようになってきていることからも明らかなように、コミュニケーション技術へのニーズは高まる一方である。そうした中で、IPテレフォニー、IPコミュニケーションの分野でのプレイヤーも増え、競争は激しさを増している。
Interactive Intelligenceでプロダクトマネジメント担当ディレクターを務めるRachel Wentink氏は、激しさを増す市場における同社製品の強みを「カスタマーコンタクトセンターとビジネスコミュニケーションの機能をすべて含むオールインワンのプラットフォームである」点だとする。
「ソフトウェアベースのオールインワンソリューションであるCICは、独自のハードウェアを必要とする従来のIP-PBXソリューションと比較して、ハード購入やアプリケーション追加のコストを下げ、ROIの向上を実現できる」(Wentink氏)
また、新バージョンであるCIC 3.0の中で、特にアピールしたい新機能として「インタラクティブレポートカスタマイズ機能」を挙げる。これは、コンタクトセンターでの利用が中心となる機能で、これまでシステムやデータベースに関する専門の知識を持った担当者のみが作成していたレポートを、現場の担当者レベルでカスタマイズし、出力できる機能である。
「CIC 3.0のレポート機能は、迅速なビジネス判断のために必要な情報を、現場の担当者レベルで柔軟に作成できるものになっている。ユーザーフォーラムでも高い評価を受け、この機能のためにバージョンアップを検討するという顧客も多い」(Wentink氏)という。
将来的には、CICで管理するコミュニケーション関連のイベントと、その他のビジネスタスクとを連携させるためのワークフロー機能を実現する計画という。IPベースのコミュニケーションプラットフォームを核として、そこから派生するさまざまなビジネスニーズに対応する機能の追加と、既存のサードパーティアプリケーションと連携するための開発インターフェースの拡充の両輪によって、さらなる成長を目指したい考えだ。
「ある調査会社では、今後、コミュニケーションのテクノロジがビジネスプロセス全体を包含していくだろうと予測している。Interactive Intelligenceでは、そこに付加価値を与えられるような製品を提供していく」(Wentink氏)