バズワードに振り回されるな
経営者にとって不安なのは、ITに乗り遅れる事で競合他社に差をつけられてしまうのではないか、もっと言えば市場全体から取り残されてしまうのではないかということです。ITの発展は業務の効率化の歴史でした。元々は軍事目的に膨大な投資で開発されたコンピュータが第二次世界大戦の終結とともに、その居場所を企業に求めたのが始まりで、当時は何に使えばよいのかを試行錯誤していました。
冷静に考えると、ITの出現によって、企業が実現している事は、なにも変わっていません。ポーターの「競争の戦略」以来、企業にも戦略というものが取り入れましたが、このフレームをベースに、競争優位性を実現する道具としてITがあるに過ぎないと言えるでしょう。
なにが言いたいのかというと、ITが戦略的になったのではなく、戦略の考え方にITが活用されているということです。IT自身にマジックはないのです。
前回も申し上げましたが、優秀な経営者は、どんな情報を集め、それをどう分析し、どう戦略に活かすのかを知っています。それは戦国時代の武将とて同じです。戦国時代にもしあなただけがITの仕組みを持っていても、そのこと自体が天下統一に有利に働くでしょうか?
インターネット時代の購買行動の変化
インターネットの本格的な時代に突入し、ビジネスが大きく変化しました。オンラインでの購買が当たり前――Amazon.comは代表でしょう。今日、パソコンで、または携帯電話で、より多くの人々が買い物をしています。
企業の動きも変わってきています。かつてはTVを中心にしたマス広告で消費者の目を惹きつけ、立地のよい店で人を呼び込み、興味を持たせ、商品を購買させるのが一般的なマーケティングと言われていました。いわゆる、AIDMA(※)の購買行動です。今、その購買行動がインターネットによって大きな変化を起こしているというのです。 (※AIDMA:Attention>Interest>Desire>Memory>Action)
この変化を簡単にいってしまうと、mixi等のSNS、Blog、インターネットサイトの推薦商品、インターネット上の広告等、伝統的なマスメディア(TVや新聞など)ではない場所から情報を集め、興味を持ったものを購買するという行動です。彼等はインターネットで興味を喚起され、インターネットで調べ、インターネットで購入します。そして購入した商品の感想を今度は情報発信者としてSNSやBlogに発信し、その情報からまた人が興味を喚起されるというサイクルが生まれます。参考まで、この購買行動をAIDMAに対してAISASと呼びます。(AISAS: Attention>Interest>Search>Action>Share )AISASの特徴はインターネットで調べる(Search)ことと購買後、その情報をBlogやSNS等で共有(Share)し、その情報に新たな顧客の注意を喚起する(Attention)所です。