「NGN(Next Generation Network)とは、音声・データ・放送を融合したマルチメディアサービスを実現する次世代通信網である」――分かりますか? 言葉尻だけを見れば、なにやら凄そうな感じがしますね。まさにバズワードです。今回は、この「凄そうなNGN」についてお話したいと思います。
そもそもNGNとは
NGNが登場した背景には、一つの已むに已まれぬ理由と、それを後押しする2つの要因があります。まずは、NGNの登場を後押した2つの要因をおさえましょう。つまり、
- 電話中心の通信からデータ中心の通信へのトレンド変革
- データ通信の技術革新
電話からデータへ
最初に、通信の歴史を軽くお勉強しましょう。米国でグラハムベルが電話を発明し、世界初の電話会社が設立されたのが1877年。追って日本では1890年に電話サービスが開始されます。そして、NTTの前身である日本電信電話公社が設立されたのが1952年のことです。電話は新たな連絡手段として企業から個人へと広がり、生活のなかで必要不可欠のものになっていきました。回線は激増し、莫大な投資を通信設備に行ってきました。インターネットや携帯電話が普及するまでは、通信キャリア(NTTをはじめとする通信事業者のこと)は電話からの事業収入を中心に事業を展開してきました。
そこに風穴を開けたのが「INTERNET」です。それまでもパソコン通信のように電話回線を使った通信は存在しましたが、あくまで一部のユーザーのきわめてニッチな世界でした。インターネットの登場で、またたくまにユーザーの高速通信へのニーズが高まり、急激にデータ通信の領域が増殖し始めたのです。そこに携帯電話という新たな通信までもが生まれ、最終的には固定電話中心の市場は崩壊してしまったのです。