What's up, man?
金融危機から世界的な不況と、景気の悪い話ばかり飛び交っていますね。最近のニュースによると、野村ホールディングスのアジア拠点の要職や欧州株式部門の責任者に旧リーマン・ブラザーズ出身者が就いたようです。「グローバル」という言葉が本当に身近になってきたと感じる人も多いのではないでしょうか。今回は企業のグローバル化をより身近に感じるために、吸収合併などで突然自分の部下に外国人がアサインされた時のことを考えてみましょう。
「外人は働かない」のウソ・ホント
よく日系企業の海外オフィスの人が「外国人は働かないくせに文句ばかり言う」と嘆いているのを耳にします。本当にそうでしょうか。私は、アメリカ人やフランス人、ドイツ人などの部下として働いたこともありますし、上司として8各国出身の外国人部隊を率いていたこともありますが、彼らがパフォーマンスで日本人より劣ると感じたことはありません。逆に、ワーカホリックじゃないかと疑うほどのアメリカ人やフランス人を何人も見てきました。
確かに彼らは仕事の仕方がスマートなので、さっさっと切り上げる時は切り上げます。それが時に薄情だと思われたり、仕事をしないように見えたりすることがあるのでしょう。また、彼らには日本人のように「周りが残業しているから自分も残る」といった感覚は全くないので(私もありませんが)、勝手に行動しているように見えるのかもしれません。
個人主義とチームプレイ
日本人はチームプレイを大事にするといいます。だから勝手に行動する外国人はおかしいと。しかし彼らにとっては、日本企業の働き方こそおかしく映っているかもしれないのです。
私が日本の企業で一番ストレスに感じるのは、仕事のGoalが明確でない所です。本来であれば企業としてのVisionやMissionを出発点とした明確なGoalがあり、そのGoalを達成するためのStrategy(戦略)があるはずです。Strategyは、株主に対してのAccountability(説明責任)を満たすために作っているのではなく、企業という大きな船でいかにして海を渡るかを決定する大事なチャートなのです。
Goalを達成するためには事業部ごとのStrategyも必要ですし、最終的には個人単位で何を達成すべきかがQuantitative(定量的に)設定されなければなりません。グローバルな組織では特にQuantitativeであることが重要です。なぜなら、国籍の違う人達の間でお互いを完全に理解し合うことは至難の技だからです。Qualitative(定性的)な表現は国によって違うので、外国人は数字にこだわるのです。
Goalを明確にすればチームとして結束できる
私の経験では、例えばアメリカ人はGoalを明確にすると、日本人よりよく働きます。しかし、Goalをあいまいにしたり、Goal設定をきちんとしないでプロジェクトを開始すると、とことんサボります。彼らは、着手すること=Commitmentと理解するので、不明確な仕事に手を出さないし、そういうマネジメントをする上司に服従することを拒否します。怪しい船長の船には乗らない、正しい判断だと思いませんか? 逆に、一度船に乗ってしまえば運命共同体です。船に乗るまでは仕事をしなかった外国人も、船が沈みそうになれば自分たちのRole(役割)やResponsibility(責任範囲)を超えて助けてくれるはずです。まぁ、時にはほかの船に乗り換える人もいますけどね……