マイクロソフトは、企業向けサーバソフトウェアの機能をネットワーク経由で提供する「Microsoft Online Services」の日本語版ベータを3月10日に提供開始したと発表した。
既報のとおり、日本でOnline Servicesの第1弾として提供されるのは「Microsoft Exchange Online」「Microsoft Office SharePoint Online」「Microsoft Office commnunications Online」「Microsoft Office Live Meeting」の各サービスと、これらをスイート化した「Microsoft Business Productivity Online Suite(BPOS)」の日本語版となる。
ベータ提供は、BPOSに含まれる「Exchange Online」「Office SharePoint Online」「Office Live Meeting」について行われる。正式サービス開始は4月を予定しており、ベータユーザーは、正式サービス開始後30日間まで、最大20ユーザーまで無償で利用できる。
正式サービス時の価格については現時点で未定だが、既に米国で提供されているものと同水準で調整中という。同社インフォメーションワーカービジネス本部ビジネスオンラインサービスグループマネージャの磯貝直之氏によれば、スイート製品となるBPOSの場合で「1ユーザーあたり月額1500円から1600円程度」を見込んでいるとする。3月中には価格が発表される予定だ。
Microsoft Online Servicesは、同社の推進する「Software plus Services」戦略の一部として、主に大規模企業向けに、Exchange Server、Office SharePoint Server、Office Commnications Serverといったサーバアプリケーションの各機能をデータセンター上にホスティングし、サブスクリプションベースで提供するもの。
Microsoft Online Servicesの運用形態は、企業ごとに個別のインフラを用意する専用タイプと、複数の企業が共通のインフラを共有する標準タイプから選べる。5000シートを超えるような大規模での導入や、カスタマイズコードをサーバ側に配備したい場合などには基本的に専用タイプで対応する。また、いずれの運用形態においても、既に自社内のシステムで展開しているActive Directoryを同期して利用することが可能だ。ユーザーは、企業の支社単位や部署単位などで、自社運用のシステムとOnline Servicesを混在させることもできる。また、SLAについては、各サービスにおいて99.9%以上の月間稼働率を保証しており、これを下回った場合には代金の25%以上を返還するという。
さらに、Exchange OnlineとSharePoint Onlineについては、Officeアプリケーションをクライアントとする通常版と、機能を限定しウェブブラウザからのみアクセスできる「Deskless Worker」ライセンスが提供される。Deskless Workerのライセンス価格は、通常版の5分の1程度となっており、各ユーザーの利用形態に合わせて選択することで、ライセンスコストをさらに抑えることも可能だ。
マイクロソフト業務執行役員、インフォメーションワーカービジネス本部本部長の横井伸好氏は、ビジネスアプリケーションに関して「自社運用のニーズはなくならない」としながらも、オンラインサービス市場の高い成長率と、ユーザーにおけるIT展開モデルの柔軟性に対するニーズが高まっている点に言及。Microsoft Online Servicesにおいては、ユーザーの選択肢を広げることで、ソフトウェアとサービス、双方の利点を提供することに主眼を置いている点を改めて強調した。