IT資源をデータセンターに集約--FCとEthernet統合した「FCoE/CEE」の重要性(前編)

辻 哲也(ブロケード コミュニケーションズ システムズ) 2009年03月24日 20時15分

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 この連載では、SAN(Storage Area Network)やNAS(Network Attached Storage)などのいわゆる「ストレージネットワーク」を中心に、データセンターを構成するサーバやストレージ、さらにはネットワークの最新の市場動向や関連技術をこれまで解説してきた。最終回となる今回は「ネットワークから見たサーバ/ストレージの未来」を中心テーマに、サーバ/ストレージの今後を、ネットワークとあわせて解説する。

サーバ/ストレージの今後

 いまさら言うまでもないことだが、われわれの社会生活や企業活動でITが不可欠の存在となっている現在、さまざまなアプリケーションを稼動させるサーバ、そして大量のデジタルデータを格納するストレージが果たす役割は、ますます大きくなっている。サーバ/ストレージ市場は、金額ベースだけでみると成熟した様子も見受けられるが、これはサーバの単価やストレージの容量単価が年々下がってきているだけであり、サーバとストレージはさらに多くの場面で使われるようになる。

 ただし、その利用形態は今後大きく変わっていくだろう。その変化について、ここでは「統合」と「仮想化」という2つのキーワードで解説していく。

 現在、サーバやストレージは企業の各拠点や支社などに、分散して配置されているのが一般的である。各ユーザーは自分たちの最寄りのサーバやストレージにアクセスし、アプリケーションやデータを使用している。

 しかし今後は、それらは、ある一箇所に統合されていくと考えられている。その一箇所とは、データセンターである(図1)。ここでいうデータセンターとは、データセンター事業者の施設だけを指しているのではなく、企業や組織が独自に所有するデータセンターなども含まれる。

図1 図1:データセンターへのリソースの統合
※画像をクリックすると拡大して表示されます

 ではなぜ、データセンターに統合されるのだろうか。その最も大きな理由が、「管理面での優位性」である。サーバやストレージのインフラ、さらにはそこに格納されるデータを分散して保持するということは、管理コストの増大に直結する。

 したがってそれらをデータセンターに「統合」することで、企業全体で管理コストを削減することが可能となる。ITインフラの管理を考えるうえでは、もはや「部分最適」の発想では立ち行かない。「全体最適」の視点で捉えることが必要となるのである。

 またWANアクセスが高速化していることも、インフラの統合を加速する要因となっている。これまではWAN回線のパフォーマンス不足が理由で、各拠点にインフラを分散して保持する必要があった。この状況はWAN回線の広帯域化や前回紹介したWAN高速化装置などを使用することで解消されつつある。さらに企業ネットワークだけでなく、家庭における光ファイバ(FTTH)やADSLの普及、さらに公衆WANサービスや高速なワイヤレスアクセスなどの登場もあり、高速なWANアクセスが当たり前のものとなりつつある。

 これらにより、ユーザーは場所を気にせずにどこからでも高速なWAN経由で社内のサーバやストレージ(データ)にアクセスできるようになる。このような環境ではもはや各拠点にサーバやストレージを配置する必然性はなく、システム更改などのタイミングでデータセンターにリソースを統合するケースが増えてきている。

 拠点側のサーバやストレージが削減される一方、データセンターには今後、これまで以上に多くのサーバとストレージが集中することになる。そうなると、今度はそれらをデータセンター内で「いかに効率よく、かつ最小のコストで運用保守すべきか」が重要な課題となる。一口に運用保守といっても検討すべき点は多数存在するが、現在データセンターでのIT機器の運用保守に関して、指摘されている主な課題は以下の点である。

  • 消費電力
    IT機器が集中するデータセンターでは、それらを稼動させるために莫大な電力が必要となる。電力コストや二酸化炭素(CO2)排出量の増大について検討が必要なだけでなく、そもそも「必要な電力を確保できるか」が喫緊の課題となっている。ある調査によると、「世界中の約半分のデータセンターで必要な電力を確保できない可能性」が指摘されており、早急に対処する必要がある
  • サーバ台数の管理
    IT機器が集中するデータセンターには、膨大な数のサーバが配置される。しかしサーバ台数の増加に比例する形で管理者を増やすことは不可能だ。したがって“少ない管理者で”多くのサーバを運用保守していく必要がある
  • ストレージ容量の管理
    IT機器が集中するデータセンターでは、ストレージ台数、さらにはそこに保存されるデータ量も膨大なものになる。データセンターには非常に重要度の高いデータも多数保持されるため、それを安全に管理するために最新の注意を払う必要がある。さらにサーバの場合と同様、大量のデータを“少ない管理者で”運用保守してくための方策が必要となる

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