「システムの作りっぱなしはしない」
「お客様起点」の具現化の1つがフィールドイノベーション。「人」を主役にITの価値を活かす専門家「フィールドイノベータ」を育成する試みだ。
富士通グループでさまざまな分野で実務を積んだ専門家から人材を募り、現場で顧客からの生の声を聞いて課題を発見。問題解決のための提案をしたり、改善の支援を担う。
ITの価値を向上させるには「ITだけを見ていては十分といえない。たとえば、仕事を請けて家を建てたのだが、それきり放っておいて、その家の住人がどこかに不便を感じていても気づかないようなもの。今後、システムの作りっぱなしはしない」――この取り組みは2007年から始まっており、現在は150人が本格的に活動を始めている。
「もうひとつのお客様視点」として、自らの経験を活かすことを重点のひとつとしている同社の受発注システムは、25年間稼動するうちに「複雑化、肥大化が進み、約1300のインターフェース、69の周辺システムをもった巨大なレガシーになってしまっていたので、これを再構築した」
グローバルな事業展開での共通言語は「数字」だ
グローバルなサービス事業展開では、データセンターを中心に位置づけている。
「世界で同じレベルのサービスを提供し、SaaSやクラウドコンピューティングも視野に入れていきたい。いまや日本もグローバルマーケットのひとつでしかないということだ。日本だけを中心にする発想から脱皮することが必要だ」と野副社長は断言する。
同社は「2010年にIAサーバのグローバルでのシェアを7%に、国内では30%にすることを目標」としている。この意欲的な見通しに背景があった。
「台数にして、グローバルでは50万台、国内では20万台ということになる。決して容易なことではないが、具体的な目標を掲げることで実現のために何が重要か、どうすればよいかが明確になる」
野副氏は「グローバルな視点で考えて行動するにあたって、共通言語となるのはもちろん日本語ではないのだが、英語でもドイツ語でもない。IAサーバの目標でいえば、50万台の目標のうち何万台売ったのかという実際の数字こそが共通の言語となる」と語っている。