日本IBMは、データベース管理ソフトウェア(DBMS)「DB2」の新バージョン「DB2 9.7」日本語版を発表した。出荷開始は6月19日。
新バージョンでは、DB言語として「PL/SQL」に対応する。これによって、これまでPL/SQLを使って開発してきたアプリケーションや、開発スキルのDB2での利用が容易になるとしている。加えて、強力なデータ圧縮によるデータ保管スペースの削減、自動管理機能による運用コストの削減、レスポンスタイムの高速化といった新バージョンでの強化点を打ち出すことで、他社製、特にOracle Databaseの既存顧客の乗り換え需要喚起を狙う。
日本IBM理事、ソフトウェア事業インフォメーション・マネジメント事業部事業部長の下垣典弘氏は、長い歴史の中で既にデータベース製品の市場は「成熟期に入っている」とする。旧システムからのリプレース需要が中心となる成熟市場、かつ世界的な経済の悪化がシステム投資を圧迫する状況の中では、企業が古いシステムインフラを長期的な保有コストを削減することを念頭に、置き換えを検討するタイミングで、どれだけ魅力的な提案ができるかがポイントとなる。
IBMの試算によると、「DB2 9 Enterprise Server Edition」と「Oracle 11g Enterprise Edition」をそれぞれ5年間稼働させた場合、基本ライセンス、各種ツールやオプション、保守費用などの総計で、DB2のほうが約半額程度に費用を抑えられるとしている。こうしたコスト面でのメリットに加えて、乗り換えの最大のネックとなっていた「既存のスキルとアプリケーションの保護」という障壁を取り払うことで、積極的にシェアを奪っていきたい考えだ。
「DB2 9.7においては、データベース運用にかかわるユーザーを、高いデータベースコストから解放すること(Break Free)を目指す」(下垣氏)
DB2 9.7の利用料金は、DB2 Experss Edition(DB2データサーバ使用のメモリが4Gバイト以下の場合)が、61万8500円より。DB2 Workgroup Server Edition(メモリが16Gバイト以下の場合)が143万7000円より。DB2 Enterprise Server Edition(メモリ制限なし)が、461万7000円より。