課題を論理的に整理する
ビジネスの現場において、私たちは様々な課題に直面し、課題の解決に向かって考えを巡らさなければならない。たとえば次のような課題に対して、こんな対策が示されたとしよう。皆さんはどのように感じるだろうか。良い対策か、おバカさんか。
「3C分析」「SWOT分析」「選択と集中」といった考え方を連想させる言葉が連続しており、立派な対策に聞こえる。しかし、これを見たあなたはたぶん「それで、具体的にはどうするの?」と思っただろう。「この会社、対策で述べているようなことを、実際にやってないから業績が悪いんじゃないの?」とさえ、思えてくる。
つまり、どこの会社でも使えるような対策は、実は何の対策にもなっていないということだ。たとえば「製品A」の売上が落ちているとき、すぐさま「製品Aの営業を強化しよう!」と、単に課題の裏返しを声高に叫んでいるのと同じである。悲しいことに、世の中にはそんな経営者がたくさんいる。
では、たとえば製品Aが売れないと仮定して、どうするか。まず「なぜ?」を考える。そして「なぜ?」を繰り返そう。
たとえば「製品」そのものに理由があるのか、それとも「製品以外」に理由があるのかを考える。「製品」に理由があるとすれば、その理由は「価格」にあるのか(だとしたら、価格はどうなのか?) 、「性能」なのか(だとしたら、どこを改良する?) 、「デザイン」なのか(だとしたら、どう受け取られているの?)を分析する。
もし「製品以外」に理由があれば、その理由は「売り方」なのか(だとしたら、どう変える?) 、「アフターサービス」なのか(だとしたら、どう改善する?) 、「信用」なのか(だとしたら、信用を失った原因は?)と考えていく。
このように原因を要素に分解していくと、具体的な原因に対して、どのような対策があるか、次にどんなアクションをとるべきかが、見えやすくなるメリットがある。分解するときに注意すべきことは、分解した要素を合わせると製品全部を表すように分解することだ。漏れや重複があってはいけない。
ここでは「製品」を「価格」「性能」「デザイン」の3つの要素に分解したが、たとえば製品が食品であるときは、「味」「パッケージ」「カロリー」などの要素が加わるかもしれない。大切なのは要素の漏れをなくすことだ。ロジックツリーに基づいて、いくら努力しても解決しないときには、漏れてしまった要素の中に最大の原因があるということになる。