Microsoftが米国時間7月23日に発表した会計年度2009年第4四半期の業績報告書は、悪い内容だった。中でも、Windowsクライアント事業部の結果は多くの予想を下回るものだった。
(6月30日までの3カ月、Microsoftのクライアント事業部の売上高は前年同期の43億6000万ドルから29%減少し、31億ドルとなった。)
何年もの間、Microsoftはソフトウェア事業において“ハイボリューム/ローコスト”モデルを確立したことを誇りとしてきた。景気がよいときは、この方程式の「ボリューム」部分は「ローコスト」部分を相殺するが、景気が悪くなるとユーザーはソフトウェア購入を延期して、高価なPCの代わりに安価なネットブックを購入し、すでに所有しているもので間に合わせるようになる。こうなると、Microsoftのアルゴリズムは機能しなくなる。
同僚のブロガー、Larry Dignan氏が指摘しているように、MicrosoftはWindowsクライアント事業部の業績について、いくつかの要因があるとしている。--「Windows 7」のOEM向けアップグレードプログラム、全体としてPCの売り上げが弱いこと、OEMの“プレミアムミックス”が通常より低いこと、などだ。ここでいうプレミアムミックスは、Dell、IBM、Hewlett-Packard(HP)といったMicrosoftのパートナー各社がローエンドバージョンのWindows(「Windows XP」「Windows Vista Home Basic」など)を事前インストールしたPCの販売台数と高価なWindowsバージョン(「Windows Vista Home Premium」「Windows Vista Ultimate」など)を事前インストールしたPCの販売台数の比率を指す。
Microsoftが業績報告書を発表したのと同じ23日、調査会社のNPDがAppleが“プレミアム”(=高価な)PC市場を狙っていることを示す数値を発表している。小売店限定で販売価格1000ドル以上とNPDが定義するこの市場は、台数ベースでみると比較的小さいが、売り上げベースでみると重要な市場だ。
Microsoftは現在、Appleよりも安いというメッセージを土台としたマーケティングキャンペーンを展開している。この主張には、多くの人が同意するだろう。Vistaを搭載したPCはほとんどの場合でMacよりも安い。だが、Windows XPを搭載したPCは、そのVistaよりも安い。そして、Vista搭載機も、ゆくゆくはWindows 7を搭載したPCより安くなるだろう。
私は今年の秋にWindows 7を搭載したPCが発売となるのを待っているが、私とおなじように待っている一般ユーザーやビジネスユーザーも多いと思う。だが、新バージョンのWindowsの登場が、ユーザー側のメモリ容量、ハードドライブ、グラフィックに優れたPCへの要求を意味していた時代とは異なり、Windows 7はこれまで以上のスペックを要求するものではないとMicrosoftの幹部は述べている。であれば、PCメーカーはスペックが過去の機種から大きく変化していない新しいPCに対して、高い値段をつけることができるのだろうか?
Microsoftは、パートナー企業に対し、顧客が安価なバージョンのWindowsが動くWindows 7マシンを購入し、機能が豊富で高価なWindows 7バージョンにアップグレードする“アップセル”を展開させるよう促すことに長けている。しかし、それだけで、今後もトレンドが継続しそうな「ネットブック効果」を相殺できるだろうか?
Microsoftの会計年度2010年度の第1四半期は9月に終了する。これは、Windows 7が小売店に並ぶ前であり、ユーザーがWindows 7の割引キャンペーンに申し込んだり、Windows 7へのアップグレード権のあるVista搭載機を購入したとしても、Windowsクライアント事業部にとっては引き続き苦しい四半期になるだろう。
Microsoftはここで一度ローコスト/ハイボリュームメッセージを考え直し、ハイエンドの高級PCにプレミアムを払いたいと思っているユーザーをターゲットとすべきなのだろうか?
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ