クラウド時代にこそ協業の真価を問われるEMCジャパンとRSAセキュリティ - (page 2)

大河原克行

2009-09-28 09:30

 諸星氏も「実際に社長2人がそろって顧客を訪問し、商談を行うということもある」とし、「EMCは大手顧客を対象としていたこともあり、顧客の絶対数としては、RSAセキュリティのほうが多い。EMCが新たな顧客開拓でお邪魔すると、随分前からRSAセキュリテイの製品やサービスを導入している、という声も聞く」とする。

 その点では、RSAセキュリティの顧客が、EMCの顧客になるといった動きも少なくない。

協業の成果を求められる「クラウド」への取り組み

 今回の会見で、記者の質問が集中したのは、クラウドサービスへの取り組みだ。

 EMCでは、クラウドサービスへの取り組みとして、2007年にBerkeley Data Systemsを買収し、2008年にはPi、2009年にはFastscale Technologyを買収。これらをMozyおよびIonixに再編し、特にIonixは自動化関連製品の統一ブランドとして、仮想化とともに重要な柱のひとつに位置づけている。

 「Mozyについては、日本で投入するかどうかはまだ決定していない。また、米国ではCOS(Cloud Optimeized Storage)を提唱しながら、Atmosといったサービスの実証実験を開始し、約100社が参加している。この中には日本の顧客も1社含まれている」などとしたほか、「EMCとしてパブリッククラウドに乗り出すつもりはない。あくまでもプライベートクラウドコンピューティングを対象とし、その市場に対して、専用ストレージを提供していくことになる」と、EMCとしてのクラウド戦略を明確化した。

 当然、クラウドコンピューティングの取り組みの中では、セキュリティも重視される。その点において、RSAセキュリティとの連携がさらに強化されることになる。

 「これまでの3年間の協業の成果には満足している。そして、3年間を振り返っても両社の協業という点での課題は見つからない」と諸星氏は振り返る。

 だが、両社の協業成果が求められるのは、むしろ、これから迎えるクラウド時代における取り組みである。これから両社の協業関係はますます緊密なものになりそうだ。

RSAセキュリティ社長の山野修氏とEMCジャパン社長の諸星俊男氏 「協業の成果には満足」とする、RSAセキュリティ社長の山野修氏(左)と、EMCジャパン社長の諸星俊男氏(右)。

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