EAのFlashゲームサイト「Pogo.com」
エンターテインメント系の事例として紹介されたのは、世界最大規模のゲームディストリビューターであるElectronic Arts(EA)が運営するオンラインFlashゲームサイト「Pogo.com」だ。
1999年にスタートし、2001年にEAに買収されたPogo.comは、現在米国、英国、フランス、ドイツでサイトを開設しており、全世界で月間1680万人のユニークビジターをほこるという。
EAでPogo.comのシニアプロデューサーを務めるDaniel Fiden氏は、毎月大量に行うゲームのプロトタイプ制作にあたって、FlashテクノロジーやAdobeのツールを利用している点に言及。キャラクターデザインや、ゲームへの物理シミュレーションの採用やサイトへのコミュニティ機能の取り込みなどに、それらを活用しているとした。
続いて、Adobeでシニアプラットフォームエバンジェリストを務めるSerge Jespers氏が登壇。LiveCycle Data ServicesやFlash Builderを用いて、ウィジェットによる対戦型シューティングゲームを構築するデモを行った。
ウィジェットタイプのコンテンツは、いわゆる「ブログパーツ」的な形で、さまざまなサイトに配信することが可能だが、今回のAdobe MAXでは、同社のSaaS型サービスである「Flash Platform Service」の機能のひとつである「Distribution Manager」を用いて、Facebookを含む多数のSNSサイトなどへの配信を管理し、ウィジェットへの広告配信サービスと連携してアフィリエイト形式の収入を得る仕組みなどが説明された。
このデモではもう1点、コード名で「SHIBUYA」と名付けられたAIRアプリ向けの少額課金回収代行システムをAdobeが準備している点についても触れられた。これは、Adobeが運営する「AIR Marketplace」というAIRアプリのダウンロードサイトにおいて、アプリケーションを課金販売するための仕組みである。デモでは、カードに印刷されたパスコードを入力することで、AIRアプリ化されたウィジェットのライセンス管理ができることが示された。これを利用することにより、各AIRアプリのデベロッパーは、アプリケーション利用に対する課金のシステムを独自に実装する必要がなくなるという。現状、日本でのAIR Marketpraceは少数のデベロッパーによるクローズドベータが行われている段階だが、今後、この仕組みが日本でも運用されることになれば、Flash開発者にとっては、新たなビジネス機会が提供されることになる。