ソーシャルブラウジング?
Raskin氏は、セキュリティがWebの将来を決める大きな要素になるという点を強調していた。われわれが現在体験しているセキュリティの水準は相対的に低く、同じような機能がすべてのブラウザにあって「泥沼状態」だという。その大半はユーザー体験に関係しており、ユーザーをブラウザが安全でないとみなす振る舞いをとるように誘導してしまう点が問題だという。
Raskin氏が取り上げた最大のポイントの1つが、ウェブ(ブラウザ)とデスクトップの連携だ。連携はアドオンやActiveXコントロール、Flashなどで行われているが、真の意味でウェブとデスクトップとの間を行き来できるようにするレイヤは存在しない。
Raskin氏の考えでは、今後ブラウザは自動的にUSB経由でカメラにアクセスしたり、ハードディスクにアクセスしてコンテンツのアップロードやダウンロードを行ったり、オンラインのバックアップ空間を利用したり、Flickrに写真をアップロードしたりできるようになるという。また、ウェブの今後のソーシャルな展開として、セキュリティ上の問題で助言をする際には、2人あるいはそれ以上の数のユーザー間で相互作用が発生するようにするといったことも語った。上の世代の人たちは大半がウェブや技術的事象を十分理解していないため、こうした役割は下の世代にアウトソースされることになる。
つまり、Raskin氏は技術的問題やセキュリティ上の問題に個別に対処するのではなく、そうした事象を社会的な問題に落とし込みたいと考えているわけだ。ある人のブラウザにセキュリティ警告が出ていたら、ソーシャルネットワークにつないで、セキュリティ警告を受け入れるか拒否するかを本人に代わって技術的に詳しい親友に判断してもらうことができる。これを評判の構築に使うこともできるだろうが、ソーシャルネットワークの他の人たちやネットワーク外の人たちに広げていくこともできるだろう。こうした問題は、技術的な問題を社会的問題に変換するアドホックなソーシャルネットワークによって解決できるとRaskin氏は続けた。
彼は自動車の中で過ごすよりもブラウザの前で過ごす時間の方が長くなっていると指摘した。デスクトップアプリケーションがクラウドと組み合わせられることで広がる潜在的可能性は、ブラウザから見ると、必要な変化であるばかりでなくウェブが適応していかなければならない進歩でもある。
結論
本稿を書き終えた時点で、筆者は彼の考え方やツイードの帽子で現れたアメリカ人Raskin氏の雰囲気、帽子をとった仕草のかっこよさに圧倒されてしまっている。今後のキャリアの中でも、彼にインタビューができたことは光栄なことだ。本稿で内容を正しく伝えられていることを願うばかりだ。
ウェブブラウズの今後のあり方について、読者はどんなことを考えただろうか。どうなってほしいだろうか。ぜひコメントや読みたい記事に関する意見を残してほしい。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ