富士通は11月9日、ビジネスプロセス管理ソフトウェア「Interstage」における新製品として、「Interstage Business Process Manager V11」を発売した。
富士通ミドルウェア事業本部アプリケーションマネジメント・ミドルウェア事業部長の矢作毅彦氏は、「IT部門が解決したい中期的な経営課題として最重要視されているのが業務プロセスの変革。だが、定型化された業務でのIT活用が促進される一方で、状況変化によって変わる非定型な業務をIT化することができず、業務全体の標準化、見える化ができていないという課題がある。現場の業務プロセスを見える化するとともに、統制し、ビジネスの環境変化に迅速に対応する必要がある。Interstage Business Process Manager V11はこれを解決するミドルウェアになる」とする。
世界20カ国以上、200社以上の導入実績をもとに改善を加えたもので、企業活動における業務プロセスをフロー図によって見える化する機能を搭載。さらに、定型化が難しく、状況に応じて変化する業務プロセスの管理を、統計手法などを用いて可能にしたのが特徴だ。
また、約3年前から企業内クラウド連携の実践を開始しているほか、北米においては昨年からSalesforceとも連携。これらの経験をベースに、企業内の業務プロセス管理と、パブリッククラウド上の業務プロセスとの連携も実現するという。日本での具体的な連携時期については今後検討していく。
Interstage Business Process Manager V11では、非定型の業務プロセス管理を行うことで、担当者ごとの負荷状況を、遅延を含めてリアルタイムに管理する。これにより、業務全体の効率化、現場状況に応じた作業の最適配置が可能になるほか、担当のノウハウや気づきを「メモ」として作業にひもづけて管理共有できる。これにより、作業の効率化と作業ミスの防止につなげることができるという。また、プロセス全体の見える化によって、複数のプロジェクトの生産性を比較したり、取引会社を含めた一連の業務プロセスを分析することで、企業全体のPDCAサイクルを継続的に改善できるという。
そのほか、新たに、作業プロセスの作成、組み替えや、すぐに運用できるダイナミックなプロセス定義を可能にする「ダイナミックタスク」機能を採用。業務プロセスやタスク情報、KPIやアラート、レポートを集約して表示するダッシュボードの改善などを図っている。
富士通ミドルウェア事業本部アプリケーションマネジメント・ミドルウェア事業部第三開発部長の吉澤庸一氏は、「当社の調べによると、非定型な業務を含むプロセスは全体の81%を占めている。大量の注文への価格対応、納期対応のための見積先や見積方法の分散、商品ごとに変わる取引先といった要因から、IT化が困難であったり、発注元によって作業工程が異なるといったことが各業種で見られている。(新製品では)金融、保険、政府、公共機関、メディア、大学など様々な業種への導入実績をもとに改善を行っており、あらゆる業種でプロセスの課題解決を図ることができる。非定型な現場作業の見える化および最適配置によって、作業効率が35%向上した例もある」などとした。
また、同社では合わせて、業務状況を監視、分析する「Interstage Business Process Manager Analytics V11」も発売する。価格は、Interstage Business Process Manager V11が600万円から、Interstage Business Process Manager Analytics V11が300万円から。いずれも2010年1月下旬から出荷する。
動作環境は、Windows Server 2003/2008、Solaris 10、Red Hat Enterprise Linux 5。クライアントは、Windows XP以降およびWindows Server 2003/2008となる。今後3年間で全世界300社への導入を計画している。
矢作氏は、「SOAの考え方は、様々なシステム、サービスを組み合わせて、ひとつのサービスとして提供することにある。そこに今後はクラウドコンピューティングとの連携も出てくる。そうした観点から見て、Interstage Business Process Managerで提供するプロセス管理は、これからのアプリケーションサービスの実行基盤になると考えている」と同製品の位置付けを説明した。