EMCでは、自社の製品やサービスを利用する場合でも、製品からサポートまですべてに対して代金を支払っているとのことだ。Montoya氏は、「そうすることで、顧客と同じ立場で自社製品を利用できる」と話す。
こうした製品群を活用することで、「400を超えるアプリケーションを統合し、現在1600台存在するx86サーバを2010年半ばには40台にまで削減する。また、2011年の半ばまでには100%仮想化されたストレージを目指し、5年間で1.5ペタバイト分のストレージの購入を回避する。VDIは、現在IT部門などの限られた部署でのみ利用しているが、2012年までには完全な仮想デスクトップ環境を実現する」という。
また、同時にIaaS、PaaS、SaaSの導入も進めているが、「IaaSとしては、開発段階の製品をテストする際、テストのためのインフラを1から構築するのではなく、EMC Atmosを利用して必要なリソースのみを購入する。また、PaaSは自社のブリーフィングセンターのスケジュールを組むオンラインブッキングシステムなど、あまり重要な情報が入っていない部分で利用している。SaaSは、一部の部署で2009年第2四半期よりSalesforce.comを利用している。このサービスは、2010年第1四半期に本格的な導入を考えているが、1年以内にフル導入できるのはクラウドサービスだからこそだ」とMontoya氏は話す。
EMCでは、Cisco Systems、VMwareと共に、仮想化とプライベートクラウド基盤の普及促進を目的とした連合「Virtual Computing Environment(VCE)」を11月3日に設立すると同時に、3社の製品をベースにした仮想化環境構築のための検証済みプラットフォーム「Vblock Infrastructure Package」を発表している。Montoya氏によると、現在EMCは新しいデータセンターを構築中で、そのデータセンターでもVblockを採用する予定だという。
こうしてクラウド環境に向けた取り組みを進めているEMCだが、「最大の課題は、われわれにとってもどの企業にとってもそうだと思うが、クラウド環境に移行するにあたって、プロセスやガバナンス、ポリシーをどう変革していくのかという点だ」とMontoya氏は言う。同氏は、「プライバシーは万全なのか、信頼性はあるのか、ミッションクリティカルなアプリケーションでも利用できるのか、管理はどうするのかなど、効率的にクラウドを利用するためにはさまざまなテストが必要だ。現在EMCではこうしたテストを行っており、ベストプラクティスを見いだした上で顧客にも情報を公開していきたい」と述べた。