ほんの10年ほど前まで、人事パッケージに求められる機能は、バックオフィスの業務である「給与系」だった。「いかにして経営資源としての人を管理する」かという人事本来の業務については、パッケージには馴染まない分野だと考えられてきた。
特に、日本は採用の仕方や人材活用の仕方が海外と異なり、労働市場の環境も違っていたため、外国製パッケージは日本企業の考え方や仕組みには合わないだろうと言われてきた。
社員を導く「成果」と「能力」のマトリックス
しかし「最近は状況が変わってきた」と話す人物もいる。日本オラクル常務執行役員、アプリケーション事業統括本部長である保々雅世(ほぼまさよ)氏だ。
保々氏の発言の背景には、昨今の不況の影響も大きいようだ。「不況になったときこそ人」の考え方は、多くの企業に強く根付いている。一方で、企業の雇用に対する考え方や、会社に対する社員の考え方は、以前と大きく変わった。人事本来の仕事である「人材管理 (タレントマネジメント) 」を支えるシステムが期待されるようになったという。
人材管理を支えるには、社員個々の評価や目標、キャリア、ポテンシャルを「見える化」する必要があり、そのためには継続的に評価に足るデータを集めなければならない。そこで人材管理パッケージが「共通の話をするための土台となり、その上でその人をどう評価するか、どこに配置すべきか、キャリアパスをどうするかなど、ユーザーが自らのやり方を作り上げていくときの基盤となる」と保々氏は話す。
人事パッケージは日本においても、バックエンドの業務から、一歩進んだ人材管理に活用される方向にある。保々氏によると、パッケージを使った「定期的な定点観測ではなく、点から線、線から面につながるような人材管理」が行われようとしているそうだ。
例えば、日本オラクル自身の人材管理のやり方も、そうしたものなのだろうか。