上田氏の講演は、日本の多くのLinux開発者がコミュニティへの参加をためらう理由や背景を分析し、言語や文化の違いを乗り越えて開発に貢献することが、コミュニティと企業の相互にメリットをもたらすことを提唱するものだった。

発表のテーマについて上田氏は、「日本OSS推進フォーラムでのディスカッションなどを踏まえて、なぜ日本人がなかなか国際的なコミュニティの場に出て行かないのか、どうすれば国際貢献ができるようになるかを考えたかった」という。
そして「これがコミュニティとの相互理解や、日本の開発者の国際的な舞台への飛躍のきっかけになってくれれば嬉しい。また、セッション後半のディスカッションの折り、多くの日本の開発者が英語で発言してくれたことは強く印象に残った」(上田氏)と語った。
- 「Why We Are Hesitating to Join the Community(PDF)」(Japan Linux Symposium 2009発表資料)
トップメンテナたちが見せた協調姿勢
今回のJLS2009に対する印象を上田氏は、「世界各国から集まったトップクラスの開発者と日本の開発者が深く直接ふれあえた素晴らしいものだった。コミュニティの中核メンバーから欧米外の文化圏を理解しようとする声が聞かれたことも心強い。これを機に日本のLinuxをはじめとするオープンソースソフトウェア開発者とコミュニティの距離が一気に縮まることを期待している」という。