Windows部門プレジデントのSteven Sinofsky氏は、Office部門からWindowsチームに移った人物だ。そういったことから、多くのMicrosoftウォッチャーはここ数年の間、構造、ポリシー、進行などさまざまな点からWindowsチームがOfficeチームに似てきた点を指摘しようとする傾向がある。
だが、OfficeチームもWindowsチームから学んでいる。とりわけ、元の統括者であるSinofsky氏がリーダーを務めているのだ。OfficeがWindowsに似てきた点の1つに、互換性ツールの開発がある。
2009年12月初め、Officeチームはベータ版として複数の互換性ツールを公開した。この中には、Office上にソフトウェアを構築するISV向けのものもあれば、顧客向けのものもある。以下にいくつか紹介しよう。
「Office 2010 Code Compatibility Inspector」:「Visual Basic for Applications(VBA)」向けと「Visual Studio」向けがある。Microsoftによると、「Office 2010」またはVisual Studioとインストールできるアドインで、VBA、VB.NET、C♯コードをスキャンしてOffice 2010と互換性のないオブジェクトモデル利用を探してくれるという。
「Office Environment Assessment Tool(OEAT)」:ユーザーのコンピュータにインストールされているアドインの種類を決定するのを支援するツール。OEATは「Office 2000」「Office XP」「Office 2003」「2007 Office system」に関するアドイン情報を収集・報告するとMicrosoftは述べている。
「Application Compatibility Assessment and Remediation Guide for Office 2010」:Microsoftによると、「プランニング、テスト、パイロット、実装を含む全体の評価と改善プロセスを記した」ドキュメント、とのことだ。
Officeチームが互換性にフォーカスしはじめた理由について、Microsoftに聞いてみた。Office 2010における何らかの変更が、Office 2003やOffice 2007の上に構築されている既存の業務アプリケーションに悪い影響を与える心配があるのだろうか?Microsoftの代表者は、これは「先を見越した対応」と述べた。以下がこの代表者の回答だ。
「Windows Application Compatibility Toolkit」を通じて、Officeチームは互換性管理の重要性に関する数々の教訓を得た。このような互換性の取り組みは既存のサービスを補完するものとなるばかりでなく、Officeアップグレードのプランニングでコンサルタントなどを用いない顧客を支援できるとOfficeチームは考えている。
ツール、ドキュメンテーション、サービスの目的は、Officeアプリケーションを構築する開発者、Officeを実装するITプロフェッショナルの両方が容易にOffice 2010へ移行できるようにすることにある。ツールとドキュメンテーションは無料で提供する。
顧客や開発者が追加サポートやアフターケアを必要とするものの1つに、64ビットのOfficeに関連した分野がある。Office 2010でMicrosoftははじめて64ビット版を提供するが、「Office Web Apps」もMicrosoftとパートナー企業にとって、追加のサポート/互換性作業を生み出すことになりそうだ。
先の代表者は以下のようにも述べている。
Office 2010(64ビット版を含む)へのアップデートで必要となる詳細なガイダンスを開発者に提供したいと思っている。IT向けには、自社環境で使われているOfficeアドインの可視性を高めるツールの提供を考えている。これにより実装チームは、実装に影響する問題に関してより正確な図を得られるはずだ。
Office 2010のベータ版を利用する開発者、ビジネスユーザーに、互換性に関する問題が生じたかどうか聞いてみたい。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ