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デスクトップのシンクライアント化、その本質と価値とは

栗原潔(テックバイザージェイピー)

2010-01-20 08:00

 前回、デスクトップ仮想化の2つのカテゴリーについて紹介した。1台のデスクトップマシン上で複数の仮想マシンを稼働するテクノロジと、デスクトップの機能をサーバ上で実行するテクノロジだ。今回と次回で、後者の仮想化について解説することとしよう。一般に、シンクライアントとも呼ばれている考え方だ。

シンクライアントという言葉の意味

 最初にシンクライアントという言葉の意味について再確認しておこう。シンクライアントは「軽量(型)クライアント」と訳されることもあるが、この訳はあまり適切ではないと思われる。シンクライアントの本質は、クライアントを軽量(thin)にする(つまり「機能を落とす」)ことではなく、クライアントをステートレスにする(つまり「状態データを維持しない」)ことにあるからだ。実際、最新のシンクライアント機器の中には、デュアルディスプレイサポートなど通常のデスクトップPCとそん色がない機能を提供するものもある。軽量と呼ぶのは不適切だろう。

 ステートレスという概念についてもう少しわかりやすく説明してみよう。ステートレス化の最も顕著な効果として、PCのハードウェア交換の際の導入作業が軽減されるという点がある。それは、必要なアプリケーションやデータ、設定情報がすべてサーバ側で保存されているため、ディスク上にどのようなアプリケーションやデータがあるかを気にすることなく、ただネットワークに接続さえすれば利用できるようになるためだ。

 これに対して、従来型のデスクトップ(いわば「ステートフルクライアント」)では、ハードウェアを交換するとアプリケーションプログラムの再導入やデータのリカバリなど、さまざまな再設定が必要となる。PCユーザーならばこれがきわめて煩雑な作業であることを知っているだろう。これだけでもシンクライアントのステートレスという特性により、管理負荷が大きく削減されることがわかる。

シンクライアントのメリットは?

 では、企業コンピューティングにおいてシンクライアントはどのような価値を提供するのだろうか。

 最大の価値は、繰り返しになるが管理負荷の削減だ。前述のとおり個別のPCだけを取ってみても、再導入や再設定の作業は大きな負担だ。企業情報システムを管理するIT部門にとって数も多く、設定もさまざまで、各拠点に分散しているPCの管理は最大の悩みの種のひとつだ。もちろん、シンクライアントの採用によりサーバ側での管理作業は増す。しかし、サーバは集中化されており、台数も少ない。また、管理ツールも充実している。分散した多数の従来型PCをサポートするよりはるかに負担が小さい。

 シンクライアントの採用に消極的な企業の意見として、従来型のPCが十分安価になっており、サーバ側での追加コストもかかることから、シンクライアント採用のコスト的なメリットが小さいというものがある。しかし、これは情報システムのコストをハードウェアとソフトウェアのコストだけで見ていることによる誤解だ。シンクライアントのコストは、運用管理の人件費などを含めたTCO(総合保有コスト)で考える必要がある。TCO削減の効果は企業の状況によりさまざまだが、一部のベンダーが提供する簡易診断サービスなどを利用して、大ざっぱな値とシンクライアントによる削減効果を把握しておくことも有効だろう。

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