IT部門はノータッチでサーバ環境を自動提供
IBMのRC2は、使いたいときに10分ほどでITリースを使用できるようになる。しかも、利用にあたってIT部門のサポートを一切必要としない(IBMでは「Zero touch support」と呼んでいる)。
セルフサービスポータルによる注文の生成(リソースの要求)から、承認プロセス、メールによる通知、自動プロビジョニング、モニタリングまでをすべて自動化。IT部門は個別の要求には対応せず、プール化したリソース全体を管理していればいい。
「従来のITリソースはリアルタイムではなかった。それに比べパブリッククラウドはたいへん利便性がいいが、金融業や製造業などは外に出せないデータも多い。そうした企業はプライベートクラウドを使うことでリアルタイムに、必要なITリソースを調達できる」(三崎氏)
プライベートクラウドの必要性は、突発的な事態への対応が必要になった際に認識されることもある。三崎氏はこんな話を聞かせてくれた。
海外で、ある金融機関に監査が入り、顧客の口座データや資金の動きをバッチ処理し、異常がないかを調べることになったという。期限は3日後。数十台のサーバが必要だが、今からIT部門にリソースを要求しても、とても間に合いそうにない。
そこで、この金融機関の担当部門はAmazon EC2を使ってバッチ処理を行った。それを知ったCIOは激怒した。重要な口座データをインターネット経由のパブリッククラウドで処理するなど、とんでもないと。ところが、担当部門の責任者は、「リソースをすぐ使えるよう準備していないIT部門の方が怠慢」と逆切れ。これを教訓に、この金融機関はプライベートクラウドを導入したそうである。