業界クラウドはEDIの替わりになる?
今回のIBMへの取材で最も興味深かったのが「業界クラウド」である。業界各社が寄り合って使用するクラウドであり、パブリッククラウドとプライベートクラウドの中間に位置づけられる。米国では「コミュニティクラウド」という分類になるそうだ。
業界クラウドでは、クラウドが提供するサービスを業界のバリューチェーンを形成する企業が使用し、サービスを使用した分だけ料金を支払う。
従来であれば各社が個別にシステムを構築し、接続する必要がある仕組みをクラウドで実現する。金も時間もかかるために、体力のない企業には敬遠されたEDIをクラウド化したようなものと考えていい。
業界クラウドはインターネットに接続できればいつでも参加できるし、従量課金であるため企業は費用についても納得しやすい。参加する企業数やデータ量が増えても、柔軟に対応できる強みもある。ややパブリックな性格を持つ業界クラウドは、理解しやすい「プライベートクラウドの価値」だと言えよう。
以上、今回はプライベートクラウドの価値について見てきた。次回は、クラウドを使いたいと考える企業が、不安を感じているという「セキュリティ」について考えてみよう。