仮想化によるサービス連携で大量のデータを処理するようになるとともに、バッチ業務にもサービスバスを活用し、各種アダプタ、BPEL(※2)などを利用して、数GB規模の大量メッセージの振り分けや変換を一括処理する入出力プログラム、制御ロジック部分の開発量を削減可能にした。こちらもV8比で最大60%の工期短縮を図っている。
※2:Business Process Execution Languageの略。複数のウェブサービスを順に呼び出して実行する手順を、一連のビジネスの流れとして記述するための言語
クラウド時代に必要なリアルタイムデータ分析のノウハウも提供
Cosminexus V8.5では他にもいくつかの注目ポイントがある。そのひとつがFull GCレス機能(※3)の強化だ。日立が2008年に発表したCosminexus V8で初めて搭載し、Java VMの持病ともいえる「ストップ・ザ・ワールド」(突然のシステム停止)を回避できる有効な手段として注目を集めたFull GCレスを、今回はクラウド環境での信頼性をさらに向上させるため、従来のセッション情報以外に管理対象とするオブジェクト範囲を任意に拡張し、プログラミングレスでFull GCレスを実行できるようした。これにより、大容量メモリ搭載システムにおいても性能低下の防止に大きく貢献できるという。
※3:業務処理で使用されるメモリ領域の確保と解放を自動的に行うJava VMのメモリ管理機能において、不要な古いメモリを専用の領域(明示管理ヒープ領域)に移動させて一括解放によるシステム停止(フルガーベージコレクション:Full GC)を回避する日立独自の技術
また、ストリームデータ処理基盤「uCosminexus Stream Data Platform」も強化。
尾花氏は「日立がこれまでに培った、製造、流通、交通などの現場で生じる大量の実世界情報をリアルタイムに収集、解析、モニタリングするためのリアルタイムデータ分析ノウハウと、カスタマイズも可能にしたテンプレートを組み込むことで、短期間での分析アプリケーション開発が可能になった」と説明する。
さらに、ウェブと電話を連携させたNGN(次世代ネットワーク)アプリケーション開発のためのウェブ/テレコム連携支援アダプタ製品「uCosminexus NGN Application Adapter」も今回新たに提供される。既存のウェブサービスに対応する電話接続機能を簡単にアドオンできるようにして、電話したい相手をウェブメール上の送信者から選択して通話できるシステムや、宅配サービスと連携して利用者がドライバーに配達時刻の変更を知らせるシステムなどの構築が可能になる。
Cosminexus V8.5での新機能に関連する各製品価格は以下の通り。「uCosminexus Application Server」(126万円)、「uCosminexus Service Platform」(441万円)、「uCosminexus Stream Data Platform」(210万円)、「uCosminexus Stream Data Platform」(210万円)。2010年1月28日に販売を開始し、2月25日から順次出荷される予定だ。