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国内ERP市場:2009年は5年ぶりのマイナス成長--大型案件の凍結や停止相次ぐ

富永恭子(ロビンソン)

2010-03-02 16:59

 矢野経済研究所は3月2日、国内の統合基幹業務システム(ERP)パッケージベンダー24社を対象に調査し、ERP市場動向をまとめた「ERP市場動向に関する調査結果 2010」を発表した。

 調査によれば、2009年のERPパッケージライセンス市場は前年比14.0%減の1005億円となったという。マイナス成長に転じるのは5年ぶり。2010年も小幅減ながらもマイナス基調が続き、本格回復は2011年以降になるとしている。

 ERPパッケージライセンス市場の2ケタ以上のダウンは厳しい経済環境の反映し、IT投資全体が削減される中で大規模投資を伴うERP案件が延期や見送りの対象となったことが要因だとしている。ERP市場の成長を牽引してきた自動車や電子機器、機械などの大手製造業が大幅にIT投資を抑制したため、大型案件の凍結や停止、延期が相次いだという。

 2008年までERP導入に積極的だった中堅中小企業も、2009年に景気の影響を受けた業績悪化で投資余力を失う企業が増加し、年商500億円未満の中堅中小企業向けERPパッケージの販売も不振だったとしている。中堅中小企業では、オフコンからの移行が主要なERPへの投資理由だが、ニーズは停滞しているという。

 矢野経済研究所は、根強い経済の先行き不透明感からユーザー企業は慎重な投資姿勢を変えておらず、2010年は前年比4.1%減の963億円と引き続きマイナス基調が続くと予測している。しかし、中国など新興国向け事業が好調な輸出型製造業や一部流通業など投資意欲の高い企業が増えているなどプラス要因もあり、2009年よりは小幅な下落にとどまる見込みだという。

 2010年下期には、幅広い業種で景気回復後の経営強化を目的とした投資が開始されるだろうとしている。しかし、ERPは検討や導入に長期間を要し、IT投資全般の増減傾向が遅行して表れる傾向があるため、市場のトレンドが変化するのは2011年になるとみている。2011年以降に投資の回復傾向が広範な業種に広がり、ERP市場は成長路線に戻る見通しだという。

 また矢野経済研究所は、国際会計基準(IFRS)導入に備えるための情報システムへの投資ニーズ拡大、クラウドコンピューティングによる新しい利用形態の普及が、投資につながるポイントとしてERP市場活性化に寄与するとみている。早ければ2015年にも強制適用されると見込まれるIFRSに対応するには、情報システムの改変が必要となり、ERPパッケージの導入ニーズに結びつくと期待されるという。

 クラウドコンピューティングについては、2010年初頭に複数ベンダーがクラウド事業を開始したほか、多くのベンダーが将来的にクラウドに対応すると表明している。矢野経済研究所は、2010年中にクラウド対応パッケージの種類は増加するとみている。

 ERP全体ではなく、機能やシステムの一部を切り出してSaaS化する方向性で検討を進めているベンダーが多いが、完全SaaS型のERPもリリースされているという。SaaS以外に、個別企業向けのプライベートクラウド環境でERPを稼動させるサービスも増えてきているとしている。ERP はこれまで自社運用型(オンプレミス)が主流だったが、クラウド化の進展で中小企業の利用増加や大手企業のシステム運用負担軽減ニーズの取り込みが期待できるという。

 IFRSやクラウドへの対応は2010年現在、企業にとって急を要する投資テーマではないため、市場を押し上げるほどのインパクトはないという。しかし、ERPベンダーはニーズ掘り起こしを狙って準備を進めており、2010年に製品やサービスのラインアップがそろう見通しだとしている。

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