IDC Japanは4月19日、国内データセンター向けITシステム市場における2009年の出荷実績と、2014年までの予測を発表した。
これによると、2009年の国内データセンター向けITシステムの出荷は1250億4600万円で、前年比6.7%の減少となっている。また、2010年にプラス成長に復帰し、2009〜2014年の年間平均成長率(Compound Annual Growth Rate:CAGR)はプラス3.1%、2014年の市場規模は1455億2900万円になると予測している。
このレポートにおける「データセンター向けITシステム」とは、サービス事業者が外部サービス用に購入するサーバやストレージ、ネットワーク機器を指す。ストレージは外付型ディスクストレージシステムを対象とし、ネットワーク機器はイーサネットスイッチのみを対象としている。
2009年にマイナス成長となった背景には、世界経済悪化後、国内経済の回復力やその持続性に対する不安があったと見ている。しかし、2010年にはプラス成長に復帰し、2014年までプラス成長を維持する見込みという。その背景には、国内企業がICTの利活用によって国際競争力を維持する上で、運用フェーズを含めてTCO削減に取り組むことや、増加するインテリジェントモバイル端末を想定したコンテンツやサービスの多様化とその配信、処理能力増強に対するニーズの高まりがあるとしている。
また、社会インフラの安全かつ効率的管理、運用といった観点から逐次収集されるデータも今後増加すると考えられ、収集した膨大なモニタリングデータをリアルタイムに処理するニーズも高まるとみている。
IDC Japan、サーバーリサーチマネージャーの福冨里志氏は 「サービス事業者向けのサーバ、ストレージ、ネットワーク機器の市場はハードウェアベンダーにとって数少ない成長分野である。ハードウェアベンダーは、サービス事業者が提供しているサービスの種類によって市場をセグメント化し、ターゲットを明確にする必要がある。その上で、ターゲットセグメントに固有のニーズを満たす製品の品揃えに加えて適切な価格設定が重要である」とコメントしている。