神戸大学、ネットワークを仮想的に統合--運用停止時間を数日から10分以下に

田中好伸(編集部)

2010-04-23 16:01

 神戸大学は、ネットワーク再構築でブロケード コミュニケーションズ システムズのイーサネットスイッチを活用して大学内の複数のネットワークを仮想的に統合している。ブロケードが4月22日に発表した。

 神戸大学は2001年にギガビットイーサネット環境を構築、11の学部と14の大学院を擁し、学生や教職員で約2万5000人の通信を支えている。だが、数度のネットワーク拡張やトラフィック増加を受けて、情報系や事務系、図書館系など異なるサービスごとに複数のネットワークが分散して存在するようになっている。そうした現行の環境では、物理的なケーブリングが複雑になり、各ネットワークのセキュリティレベルの違いから管理が煩雑になるなどの弊害が発生、全体的な運用コストが肥大化するという問題に直面していたという。

 そこで神戸大学は、既存資産や環境を活かしながら、そうした問題を解決するネットワーク再構築に踏み切っている。ネットワーク再構築の検討で同大学は、「仮想ルーティング転送」(Virtual Routing Forwarding:VRF)機能を採用、2009年6月にVRF機能を搭載するブロケード製ネットワーク機器の導入を決定している。コアスイッチとして「Brocade NetIron MLX-8」2台、基幹スイッチに「Brocade NetIron CES 2000」10台を導入して2009年10月から稼働している。NetIron MLX-8は1台が10Gbpsリンク、もう1台が1Gbpsリンクという二重化構成を取り、ルーティングプロトコルのOSPF(Open Shortest Path First)でリンクを使い分けている。

 従来のネットワークでは、コアスイッチの傘下に各基幹スイッチが接続され、各基幹スイッチに情報系や事務系、図書館系などのサービスを提供するネットワークがそれぞれ接続されていた。再構築後は、VRF機能を利用して、1台の基幹スイッチで既存環境を維持しながら、各サービスを仮想的に収容、統合しており、NetIron MLX-8とNetIron CES 2000のVRF機能で異なる複数のネットワークを仮想的に統合させている。

 これにより、エッジレベルのポート数を減らすことで、デバイス数を最大50%削減できたとしている。また、セキュリティレベルを維持しながら、運用や保守、管理の効率を向上させ、消費電力を半減させるなど、大幅なコスト削減に成功しているという。さらに、従来は数日かかっていたネットワークの運用停止時間を10分以下に短縮できたとしている。

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