ウイングアーク テクノロジーズは4月26日、総合帳票基盤「Super Visual Formade」(SVF)の最新版となる「9.0」を発表した。今夏に各種製品を出荷開始する予定だ。また、クラウド環境に対応した「帳票クラウド」も披露した。
SVF Ver9では、PDF生成エンジン「SVF for PDF」とプリンタ制御ソフト「Report Director Enterprise」(RDE)、帳票開発ツール「SVFX-Designer」、Java実行モジュール「SVF for Java Print」の機能をそれぞれ強化している。
SVF for PDFでは、部数やページの指定、用紙選択、両面印刷などを上位システムであらかじめ設定できるようにした。受信者は帳票を印刷する度に各種の設定をし直す必要がなくなり、業務ルールにあわせてPDFを生成したり印刷したりできる。またSVFX-Designerで設計した帳票デザインをそのままPDF化でき、たとえば“納期注意”や“重要書類”といった必要に応じたデザインを差し込んで印刷できる。加えて、印刷用のファイルフォーマット「PDF/X」を採用しており、通常の印刷物に比べてデザイン性の高い帳票を作成することも可能だ。
SVFとRDEは、ユーザー企業の海外進出にあわせて多言語に対応している。今回新たにタイ語が追加され、中国語の繁体字と簡体字、韓国語、チェコ語、仏語、英語の7カ国語に対応したグラフが作成できる。SVFX-DesignerではExcelやWord、PDF、紙に加えて、OpenOffice.orgからの読み込み機能を追加した。このほか、1月に標準化された新規格バーコード「GS1 DataBar」にも対応する。ウイングアークでは、主に食品や医療材料、精密部品など小さな商品や製品を扱う流通業での普及を見込んでいる。
SVF for Java Printでは、プリンタドライバ形式「EMF」を改善した「SVF EMF PLUS」ドライバを新たに追加。プリンタドライバに依存することなく印刷速度を向上できる。また、ページ記述言語の仕様「PCL5」に対応する。帳票の中にフォントを埋め込むことで、フォントに対応していないプリンタでも印刷できる。
SVF Ver9では新しい製品を追加する。上位アプリケーションで作成した印刷データを帳票出力モジュール「SVF for .NET Framework」経由でプリンタ印刷、PDF出力できる「Text Connect for .NET Framework」を5〜7月に予定している。レガシーシステムやERPパッケージなどで構築した基幹業務システムが出力した帳票データを、仕分けたり振り分けたり、データ変換したりして複数のプリンタに出力する「OpenBOST for SVF」を6〜8月に発売する。
「帳票SaaS」を進化させた「帳票クラウド」を2010年度中に提供
ウイングアークは同日、「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)上でSVFとRDEを稼働させた「帳票クラウド」を披露した。現在は研究開発を進めており、2010年度中の提供を目指している。
帳票クラウドでは、海外に工場や拠点を置くユーザー企業が、国内の自社サーバを介さずにクラウド上の帳票を印刷できるようになる。ユーザーはグローバルIPを割り当てて、リモートデスクトップ接続でクラウドにアクセスする。ウイングアークによると現在、「国内外問わずどこからでも印刷できる段階」と説明している。
同社代表取締役社長の内野弘幸氏は今回の発表について、「ユーザー企業の工場や拠点が海外に設置されるようなり、クラウドとグローバルに対応したバージョンになっている」とコメント。「2010年は若干の右肩上がりを予算にしており、(IT投資が回復する)下期から来年にかけてアピールしたい製品」と述べている。