IBMのクラウド担当CTOが自社の事例とともに語った「クラウドに向く分野、向かない分野」 - (page 2)

大河原克行

2010-05-19 16:45

クラウド化に向いている分野、向いていない分野

 Kloeckner氏によれば、クラウドの形態には専用サーバを利用する「プライベートクラウド」「マネージド・プライベートクラウド」「ホステッド・プライベートクラウド」と、共有サーバを利用する「共有クラウドサービス」「パブリッククラウド・サービス」の5つがあるという。中でも、IBMの顧客の多くが利用しているのが共有クラウドサービスだという。

 また、クラウド化に向くエリアとしては「コラボレーションや開発、テスト環境など、情報を共有化する領域や標準化および素結合による統合環境といった領域」を挙げ、一方で「QOSが高い、運用ルールが厳格である、カスタマイズを進めることで最適化が実現されている領域、複雑なプロセスとトランザクションがある分野」などは、現時点ではクラウド化に向いていないとした。

 IBMでは自ら「解析」「コラボレーション」「開発テスト」「デスクトップ」「ストレージ」「ビジネス・サービス」の6つの領域からクラウドへの移行を図り、その成果を顧客やパートナーに還元しているという。

 「現在、12万人の営業社員がCognosを活用して解析を行っており、これを早期に16万人にまで拡大する。また、Lotus Liveを活用したドキュメント共有を行い、米国の1000人の開発者がアプリケーション開発にクラウドを活用している。今後は2万5000人のすべての開発者がこれを使うようになる。さらに、中国の研究所にいる700人の開発者が、試験的にデスクトップクラウドを活用し、コールセンターにもこれを広げている。そのほか、社内で活用している1000種類のアプリケーションのうち、300種類を今年中にクラウドに移行する予定だ」(Kloeckner氏)

クラウドの適用分野 IBMでは「解析」「コラボレーション」「開発テスト」「デスクトップ」「ストレージ」「ビジネス・サービス」の6つの領域からクラウドへの移行を図っているという

クラウドの中核を担うサービス管理

 一方でKloeckner氏は、「IBMのクラウドサービスの中核を担うのが、インテグレーテッド・サービスマネジメント」とする。ユーザー志向のセキュアなサービスポータルの展開や、自動化エンジンの活用、監視やセキュリティなどのクラウドサービスの管理、自動化されたプロビジョニングとイメージ管理よるサービス展開といった観点で、一貫したサービスが提供できるという。

 また、IBMでは開発テスト環境を最適化するためのサービスとして「IBM Smart Business Development and Test On the IBM Cloud」を提供する。第2四半期から米国、ドイツのデータセンターで展開し、2010年末までには日本でもデータセンターを構築して、同サービスを提供する計画を明らかにした。さらに、買収したCast Iron Systemsによる、ハイブリッドクラウドの提案などを今後加速させていくとした。

 「クラウドは単なるバズワードではなく、ITの運用を様変わりさせるものである。投資対効果を著しく向上できるが、それだけではなく、成果をいち早く生み出すことできる。そして、クラウドにおいてはサービスマネジメントこそが重要な鍵になる。クラウドの導入にあたっては、多くの選択肢のなかから最適なものを選ぶ必要がある。IBMはニーズに応じたクラウドコンピューティングを提供できる」(Kloeckner氏)

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