CA Technologies(CA)は9月7日、アプリケーション性能管理ソリューションの最新版「CA Application Performance Management 9」(CA APM 9)を発表した。CA APM 9は、仮想環境および物理環境を含めたさまざまなIT環境におけるウェブトランザクションを可視化し、ビジネストランザクションのサービス品質を保証するというソリューション。同社ではこのほかにもインフラ障害管理製品の「CA Spectrum Infrastructure Manager」と、インフラ性能管理製品の「CA eHealth Performance Manager」というサービス品質保証に向けた製品を提供しており、今回発表したAPMの新バージョンでこの分野のポートフォリオをより強化することになる。
CA Technologies サービス・アシュアランス営業本部 ワイリー・テクノロジー営業部 部長 脇本亜紀氏は、「例えば今後、株式売買や為替トレーディングのような重要なトランザクションが、企業のデータセンターからASPやパブリッククラウドを通り抜けていく可能性がある。その中には、仮想化された環境や物理的環境、SOAなどもあるだろう。こうした環境下では、インフラの複雑性とは独立したトランザクションそのものを監視する必要がある」と述べ、今回発表したソリューションの重要性を説明した。
CA APM 9では、これまで単体で提供されていたウェブアプリケーションの性能監視および問題検出ソリューションの「CA Wily Introscope」と、顧客体験のサービスレベルを管理するソリューション「CA Wily Customer Experience Manager」(CEM)がAPMソリューションに統合された。2つのソリューションが連携することで、エンドユーザーの体験状況を迅速に把握してアプリケーションの根本的な原因をより診断しやすくなったという。なお、CA Wily Introscopeは引き続き「CA Introscope」として単体でも提供される。
Introscopeに新たに加わった機能としては、ビジネス指向で性能や可用性データを表現するビジネスセントリックマネジメントがある。これにより、アプリケーションに関する健康状態を迅速に理解できるという。また、アプリケーションマップを自動生成し、それらの性能と可用性を提示することで問題の切り分け時間やMTTR(Mean Time To Repair:平均復旧時間)を縮減するアプリケーショントリアージマップや、GUIを使用してカスタムインスツルメンテーションができるダイナミックインスツルメンテーション機能も加わった。さらには、SOA対応インフラを拡大し、Oracle、IBM以外にTIBCO、webMethods、Apache、Metro、JBossなどのSOA環境にも標準対応した。
CEMにおいては、稼働中のトランザクションを自動的にキャプチャしてレコーディング定義を省略する自動トランザクション識別機能や、ユーザーグループやビジネスサービスといったレベルでアクセスコントロールが可能になるセキュリティ機能などが加わった。また、マルチバイトが含まれる場合のトランザクションモニタをサポートし、日本語ユーザーインターフェースの適用範囲も拡大した。
脇本氏は、販売ターゲットとして「引き続き大規模な運用環境での事例にフォーカスする」としながらも、「中規模から大規模の金融系オンライン取引や、製造業にも対応していきたい」としている。また、販売戦略については、「6月に発表したNECとの協業によるOEM販売と同様の動きを今後も強化していきたい」と述べた。
CA APM 9の1 CPUの場合の参考価格は、162万5000円(税別)からで、CA Introscope 9単体の価格は120万円(税別)から。出荷開始予定日は10月1日となっている。