NECは10月15日、CA Technologiesとの連携により、クラウドサービスやITシステムのサービス品質向上を支援する「性能改善ソリューション」の提供を11月より開始すると発表した。新ソリューションは、NECのウェブアプリケーションサーバ「WebOTX Application Server V8.3(WebOTX AS)」と、CA Technologiesが10月に発売したアプリケーション性能管理ソフトウェア「CA Introscope 9」を組み合わせて実現している。
同ソリューションの製品化に先立ち、米CA Technologiesとの共同検証を行い、WebOTX ASがCA Introscope 9の認証を取得した。これにより、アプリケーション内部の処理単位だけでなく、ITシステムやクラウドサービスを提供する事業者の視点でも性能情報を可視化することが可能になったという。また、Java EEアプリケーションで構築されるITシステムやクラウドサービスの性能を、アプリケーション内部の処理単位で可視化することで、性能のボトルネックとなる部分の特定および改善を効率的に行うことが可能だとしている。
新たな連携ソリューションにより、煩雑な初期設定を行わずにWebOTX ASとCA Introscope 9の連携を実現する機能が提供される。導入時の設定作業の大幅に削減され、短期間かつ低コストでシステム性能情報の可視化が可能という。また、CA Introscope 9で可視化した性能情報をもとに、システムの改善点や改善方法などを調査するための「WebOTX性能管理ガイド」を提供する。同ガイドを参照することで、CA Introscope 9が検知した性能問題に対して、アプリケーションやWebOTX ASの設定情報のどの部分を改善すべきかを迅速に把握でき、効率的な性能改善が可能だとしている。
性能改善ソリューションの価格は、アプリケーションサーバ1台(1CPU)でWebOTX ASで構築したJava EEアプリケーションの性能検証をする場合、最小構成価格が320万円より(税別、保守なし)。これには、CA Introscope 9、WebOTX AS V8.3、性能測定テンプレート、性能管理ガイドが含まれる。NECは今後3年間で300システムの販売を目指す。
クラウドコンピューティング環境では、複数のテナント(サービス利用企業)で1つのアプリケーションを共有するため、アプリケーションの性能ボトルネックの影響がテナント全体に及び、サービス品質低下を引き起こすリスクが発生する。そのため、従来よりもきめ細やかな性能検証が必要になり、その検証にかかる時間とコストの増加が課題となっているという。
NECとCA Technologiesは6月に、システムの性能を分析して性能問題の原因特定を支援する「性能ボトルネック分析ソリューション」の提供を開始している。今回発表された新ソリューションは、対象領域を、性能問題の原因特定からシステムの性能改善支援にまで拡大したものだという。両社は今後もアプリケーション性能管理領域での協業関係をさらに発展させていく考えだ。