NECは12月7日、奈良県の香芝市、葛城市、川西町、田原本町、上牧町、広陵町、河合町の7市町に対し、基幹業務システムをSaaS型で提供するクラウドサービス「GPRIME for SaaS」の提供が決定したと発表した。
従来、地方公共団体で導入が進んでいたサービスは、電子申請や施設予約などフロントオフィス系業務が中心だった。バックオフィス系業務である基幹システムの場合は、個々の地方公共団体が独自システムを構築するか、複数の地方公共団体が共同で構築した独自システムを所有し、データセンターに設置する形態が主流だったという。
一方で昨今、地方公共団体においては、効率化促進やコスト低減に加え、大規模な制度改正への対応やセキュリティ対策の強化などの課題を抱える一方、限られたリソースで多様化、高度化する行政サービスを実現していくことが急務となっている。こうした背景のもと奈良県下7市町は、職員の負担軽減や最適配置、システム運用、維持コストの削減、環境変化への迅速な対応を可能にする先進的なシステム基盤の利用を求めており、今回の導入に至ったとしている。
NECは、地方公共団体の住民情報、財務会計、人事給与などの基幹業務システムをSaaS型で提供する「GPRIME for SaaS」を1月から販売している。7市町は、このGPRIME for SaaSが提供するシステム機能のうち、住民情報、税務、国保/年金、福祉医療、介護など22の業務システムをクラウドサービスとして利用する。GPRIME for SaaSは、NECが特定のデータセンターから基幹システムの業務パッケージをネットワーク経由で提供するもので、基幹システムを所有せずにサービスで利用する形態は全国でもまだ例がないとしている。
GPRIME for SaaSの提供とともにNECは、7市町に対して基幹業務に付随する帳票出力(印刷)、帳票の封入および封緘、運搬、配送などの作業もアウトソーシングサービスとして提供する。システムから付随作業まで基幹業務支援にかかわるサービスをトータルに提供することで、7市町はこうした作業の職員負担も軽減できるとしている。
同サービスは、第1弾として河合町で2011年度から利用が開始され、他市町においても現行システムの切り替え時期に合わせて順次開始される予定。NECは、今回の奈良県下7市町を皮切りに、今後、関西エリアをはじめ、全国に向けてGPRIME for SaaSを中心とした地方公共団体向けクラウドサービスの販売強化を図っていく。