アイ・ティ・アール(ITR)は5月27日、デスクトップ仮想化およびマネージドクライアント(プロファイルの仮想化)によるクライアントPC管理の効率化に関するコスト試算調査の結果を発表した。
デスクトップ仮想化については、従来より、クライアントPCのTCO削減、運用管理負荷の低減、セキュリティの向上、ITガバナンスの徹底といった観点で注目を集めていたが、3月に発生した東日本大震災を受けて、ビジネス継続計画(BCP)の一環として関心が高まっているという。
一方で、デスクトップ仮想化の導入では、初期導入コストの高さから導入を諦めるケースや、アプリケーション仮想化あるいはユーザープロファイルの仮想化と言えるマネージドクライアントの導入に検討を切り替える企業もあるとする。
ITRでは今回、仮想企業(国内に7拠点を有する、PCユーザー数1000名の製造業)を想定し、デスクトップ仮想化およびマネージドクライアントの導入がTCOに与える影響を試算した。デスクトップ仮想化ソフトウェアとしてはCitrix Systemsの「XenDesktop VDI Edition」、マネージドクライアントソフトウェアとしてはEUGRIDの「EUGRID PLATFORM Client Edition」を利用したという。
その結果、クライアント環境の集中管理による運用管理業務の効率化、およびクライアント環境にデータを保存できないといったセキュリティ向上による機会損失コストの削減効果がTCO削減に大きく関与する結果になったという。
通常のPCを継続利用するモデルに比べ、デスクトップ仮想化を導入したモデル(モデルVDI)は、5年間の運用管理コストを約6000万円削減でき、マネージドクライアントを導入したモデル(モデルMC)では約2300万円削減できることがわかったという。また、機会損失コストに関しては、VDIで約8500万円、MCで約4900万円をそれぞれ削減できることがわかったとする。
モデルVDIおよびモデルMCは、通常のPCを使うモデルに比べて、ともに初期導入コストが大きくなるものの、4年目には3モデルのTCOはほぼ横並びとなり、5年間トータルでは通常のPCを使い続けるモデルに比べ、モデルVDIで約3800万円、モデルMCで約1100万円の削減が可能という結果になったという。試算結果の詳細資料については、ITRのウェブサイトでダウンロードが可能だ。