アイ・ティ・アール(ITR)は5月25日、国内全文検索ソフトウェア市場の2010年度の市場規模および動向について調査結果を発表した。これによると、2010年度の同市場は伸長し、特にSaaS型の全文検索ソフトウェア市場は約44%増と大幅に拡大したとしている。
2010年度の国内全文検索ソフトウェア市場は、出荷金額が約55億円となり、前年比14.0%増の伸びを示した。これについてITRは、ファスト サーチ&トランスファの買収によって製品ラインアップを強化したマイクロソフトが同市場をけん引したとみている。提供形態別では、SaaSモデルで提供するベンダーが徐々に増えるとともに、SaaSの出荷金額は急速に伸長しており、2009年度から2011年度にかけてシェアも拡大傾向にあるという。
2010年度のSaaS型全文検索ソフトウェア市場は、出荷金額が13億円、前年比44.4%増と勢いを示した。参入ベンダーも増加しており、2011年度の出荷金額は同30.8%増になるとITRは予測している。2010年度の同市場の出荷金額ベースのベンダーシェアでは、マーズフラッグ、デジアナコミュニケーションズ、NTTアイティ、ビジネスサーチテクノロジの上位4社が過半数のシェアを占めた。2011年度もいずれのベンダーも出荷金額を伸ばすと見られ、徐々に混戦模様となると予想している。
ITRのシニア・アナリストである生熊清司氏は、「情報の重要性の高まりとソーシャルメディアなどのデータ活用といったニーズに支えられ、全文検索ソフトウェア市場は今後も拡大路線にあると考える。また、クラウドコンピューティングの利用拡大とともに、ウェブ検索エンジンとの融合により、社内外にかかわらず、より高度な検索と優れたユーザーエクスペリエンスを提供するSaaSモデルの製品が出現してくることが予想される」とコメントしている。
