Nimbula Directorを構成するサービス
Nimbula Directorを構成するサービスは、bIC(Infrastructure Controller)と各サービスで構成されます。
- bIC:Nimbula Director管理サービス
bICサービスはNimbula Directorの中核をなすサービスです。Nimbula Directorの全ノードの稼働状態を把握して、Nimbula Directorの各サービスの制御を行います。 - Metering Service:リソース監視サービス
Metering Serviceは後述するオープンソースソフトウェア「Ganglia」を制御して、Nimbula Directorのノードのリソース利用量を監視します。取得したリソース利用量は、クラスタごとノードごとにウェブブラウザから確認することが可能です。 - Image Management Service:仮想マシンイメージ管理サービス
Nimbula Directorでは、仮想マシンのイメージファイルは全て分散ファイルシステム上に保存されます。Image Management Serviceは仮想マシン作成時にストレージ上に分散ファイルシステムから展開され起動を行い、スナップショット取得時や仮想マシンイメージの追加時には分散ファイルシステム上に保存する役割を果たします。 - Authentication Service:認証サービス
Authentication Serviceは、Nimbula Directorのサービスで利用するアカウントの認証を制御するサービスです。現在のバージョンでは、Nimbula Director独自の認証または外部のActive DirectoryのLDAPサーバとの認証連携をサポートしています。 - Network Management Service:ネットワーク管理サービス
Network Management Serviceは、Nimbula Directorが利用するDNSやDHCPサーバの制御、仮想マシン間のファイアウォール機能を実現するセキュリティリスト機能の制御を行います。 - User Management Service:ユーザー管理サービス
User Management Serviceは、Nimbula Directorを利用するユーザーに対して、Nimbula Directorの各オブジェクトのアクセス制御を行います。 - Federation Management Service:フェデレーション管理サービス
Federation Management Serviceは、Nimbula Directorと他クラウドサービスの連携を行います。現在のバージョンではAmazon EC2をサポートしています。
Nimbula Directorを構成するオープンソースソフトウェア
- ハイパーバイザ:KVM
Nimbula Directorは、現在のバージョンではKVMをハイパーバイザとして利用しています。現在Linuxのカーネルに標準採用されているKVMは、古くから利用されているハードウェアエミュレーションを行うQEMUとの組み合わせで動作します。Nimbula Directorでは現在、KVMの準仮想モードでの仮想マシンの稼働のみを想定しており、仮想マシン上で動作するOSにはVirtioのドライバを導入する必要がある点に注意が必要です。 - データベース:PostgreSQL/DRBD
Nimbula Directorでは、各種管理用のサービスは全ての情報をPostgreSQLのデータベースサーバに保存されます。また、データの冗長化のため、PostgreSQLのデータ保存先はDRBDを利用して他のサーバへレプリケーションされます。そのため、万一の障害時も同一データを保持した状態で別のサーバでサービスを再開することが可能です。 - 分散ファイルシステム:HDFS/gluster
Nimbula Directorでは、仮想マシンのイメージを保存する先として、Hadoopで利用される分散ファイルシステム「HDFS」を利用しています。「Amazon S3」と同じ位置づけのコンポーネントにあたります。Nimbula Directorでは全てのノードがHDFSのData Nodeとして稼働され、各ノードのローカルディスクを分散ストレージとして利用することが可能です。また、HDFSではName Nodeと呼ばれるHDFSのメタデータを集中管理するノードが存在します。HDFSのメタデータは当然HDFSで保護されていないため、別の分散ファイルシステムであるglusterを利用してHDFSのメタデータの保護が行われます。 - 分散アプリケーションフレームワーク:ZooKeeper
Nimbula Directorでは、全てのノードは同一バイナリでインストールされるという特徴があります。管理サーバ、計算ノード、ストレージノードのインストールを、それぞれ別の手順で実行する必要はありません。同一バイナリで展開されたノード群はZooKeeperを利用して、プライマリ管理サーバはノードA、セカンダリ管理サーバはノードBといった風に、Nimbula Directorで利用される役割を自動的に各ノードに割り当て、障害時を自動検出する仕組みを実装しています。 - リソースモニタリング:Ganglia
Nimbula Directorでは、全てのノードのリソース利用量を把握するために、大規模環境を想定したモニタリングソフト「Ganglia」を利用しています。非常に低負荷でリソースの取得が可能です。また、クラスタ環境での利用が想定されているため、個々のノードの負荷だけでなくクラスタとしてのリソースの利用量を表示することができるのも、IaaS基盤にGangliaが向いている理由の1つです。Nimbula Directorでは管理者はウェブサーバ経由でGangliaが取得したリソース利用量を確認することが可能です。
ここまでNimbula Directorの概要について、機能とアーキテクチャにフォーカスして紹介しました。次回は、Nimbula Directorの導入と設定を説明します。お楽しみに。
福留真二
地方から出てきたITを使いこなせないアナログSE。VMwareを中心とした仮想化関連製品のプリセールス、サービスデリバリーに従事。また、トレーニングやセミナーなどでスピーカーを担当することもしばしば。
最近注力しているのは、VMware vCloud Directorなどクラウド関連製品。慣れない概念や聞いたことのない用語と悪戦苦闘する毎日
苦手なものは機械全般。
工藤真臣
ITを使いこなすデジタルSE。VMwareを中心とした仮想化関連製品のプリセールス、サービスデリバリーやコンサルタント業務に従事。
最近はもっぱら、Nimbula DirectorやVMware vCloud Directorなど、なにかとDirectorと縁が深い。
好きな言葉は重複排除。業務も重複排除するべく色々思案中。苦手なものはピーマン、好きなものはアップル。
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